暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第225話:本部襲撃
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う。本来であれば直ぐにでも何らかの行動を起こしたかっただろうが、肝心のキャロルが居なければそれも儘ならない。きっと連中は今頃内心慌てている筈だ。
未来を連れ去った事と、キャロルの身柄を求めた事。この二つの事実から見えてくる答えとは即ち…………
「落ち着いているようだな」
「ん?」
不意に背後から声が掛けられる。颯人が後ろを振り返れば、そこには何時から居たのか輝彦の姿があった。父親の姿に颯人は肩から力を抜くと、コピーの魔法で作り出した分身を消して剣を小脇に抱える様に持ち替え体をリラックスさせた。
「何の用だよ、父さん?」
「いや何、あまり気を張り過ぎてバテているのではないかと心配してな」
奏を連れ去られて颯人の気が気でないのを輝彦は見抜いていたらしい。それを分かっていながら待機させている父に、颯人は敢えて不満を分かり易く表に出しながら訊ねた。
「無策で飛び出すほど俺も馬鹿じゃねえよ。今すぐ飛び出したい気持ちはあるけどな」
「その気持ちはいざと言う時の為に取っておけ。必ず必要になる」
輝彦の言葉に颯人は眉間に皺をよせ口をへの字に曲げながら小さく頷く。と、その時彼らの耳に何かが風を切る音が響いた。何かと2人がそちらを見ると、そこには透とガルドがそれぞれ杖と槍に跨りクリスとマリアを後ろに乗せた状態で飛んでいく姿が見えた。既に変身している様子からして、何らかの戦闘が求められているらしい。穏やかではない様子に颯人だけでなく輝彦の表情も険しくなった。
「……何かあったらしいな」
「その様だ。気をつけろ、こちらにも何らかのアクションが無いとは限らない」
今この瞬間に何が起きたのかは分からない。だが透達4人が一斉に動き出さねばならない程と言う事はそれなりに緊急事態なのだろう。ジェネシスの動きがそれだけで終わるとは思えない。
一先ず2人は一度弦十郎達に今何が起きているのかを訊ね、然る後にこれからの動きをすり合わせる為の話をしに行こうと甲板を後にしようと踵を返した。
その瞬間、周囲の空の色が変わった。まるでインクが水に広がるように夜の帳が降りて黒かった空が赤く染まっていく。
突然の異変に颯人と輝彦が空を見上げると、2人は赤く染まった空から微かに魔力のうねりを感じた。
「これは……父さん!」
「あぁ、結界だ。周囲を結界で囲まれたな」
2人は背中合わせになって周囲を警戒する。結界は本部潜水艦のみならず湾港もすっぽり覆っていた。これほどの規模の結界を張れるような相手も、その理由も一つしか考えられない。
2人が次に起こる事を予想していると、上空に次々と魔法使いが転移してくる。その数、10人や20人ではない。
「先手打たれたぞ、いいのか?」
「何とかするしかあるまい」
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