第一章
[2]次話
シェリー誕生
この時スコットランドのウイスキー業者達は苦い顔になっていた。
「また税金上げてきたな」
「ウイスキーの税金をな」
「全く、イングランドと一緒になってからこうだよ」
「酒に税金ばかりかけやがって」
「特にウイスキーにな」
「お陰で商売あがったりだ」
業者達は苦々しい顔で話していた。
「日に日に苦しくなってきているな」
「ここまで税金かけられるとな」
「イングランドの王様にはしてやられてるな」
「スコットランドの王様にもなってな」
「元々親戚でもな」
「なって欲しくなかったぜ」
こんなことを話していた、そしてだった。
彼等はどうしたものかと話した、それで知恵が出た。
「もう密造だな」
「ああ、ここまで税金かけられたらな」
「俺達も食っていけないからな」
「密造してやろうな」
「そしてイングランドの王様に一泡吹かせてやれ」
「税金かけ過ぎるのが悪いんだ」
「悪いのは税金だ」
「イングランドの王様だ」
こう言って業者達は密造に走った、そこでさらに知恵を出してだった。
「このスコットランドは山が多いしな」
「森もな」
「あそこで造ればわからないな」
「ウイスキー造ってもな」
「じゃあこれからはな」
「山奥で密造しような」
「蒸留所はそこに置くぞ」
彼等は実際に蒸留所を山奥の森の中にもうけそこでウイスキーを造った、そうして売ることにしたが。
そこでだ、さらにだった。
「出来た酒はシェリーの樽に入れるか」
「目隠しにな」
「それでイングランドの連中にわからない様にするか」
「隠すなら二重三重だ」
「シェリーの樽には酒は入れないしな」
「これまでそうだったしな」
「造った酒はそこに隠すぞ」
こうして山奥で造ってだった。
さらにシェリーの樽で隠して売る様になった、だが。
造った酒をついつい忘れてしまう時もあった、それで業者の一人が何年も置いていたシェリーの樽に気付いて仲間達に言った。
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