第四章
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「コンプレックスに思っていてもな」
「人や私自身を助けられるなら」
「それはいい力だからな」
そう言っていいからだというのだ。
「だからな」
「いいのね」
「そうじゃないか?」
「そうなのかしら」
両親に食事の時に言われてだった。
魔美は考えた、そして徐々にであるが。
超能力を隠したままだがコンプレックスを感じることはしなくなった、それもまた自分なのだと考える中で思う様になり。
受け入れていった、そうしてだった。
自分の身を護ったり人を助ける為に使う様になった、大学生になり就職して結婚して子供が出来てもそれは変わらず。
夫となったサラリーマンの哲雄穏やかな優しい顔で黒髪を短くした長身の逞しい身体の彼には自分が超能力者であることを話したが彼はその時こう言った。
「そうなんだ」
「それだけ?」
「中にはそんな力を持ってる人もいるし。お坊さんで修行したら」
そうすればというのだ。
「自然と浮かぶ人が本当にいるから」
「そうなの」
「僕そうした人見たし別にね」
「いいのね」
「それでその力で自分を護って助けるなら」
「それならよし」
「そうだよ、実は僕だってコンプレックスあるし」
夫は自分の話をした。
「背が高いことがね」
「それがなの」
「ほら、一九〇あるね」
その長身のことを言うのだった。
「そのことがね」
「コンプレックスなの」
「子供の頃から頭一つ大きくて目立ってすぐに何かと言われたから」
だからだというのだ。
「そうだったんだ、超能力と比べると何でもない様に思えても」
「それでもなのね」
「それがコンプレックスだったし誰にもね」
「コンプレックスあるのね」
「そうじゃないかな、今は逆に高いところに手が届いたり便利だって言ってもらえるから」
それでというのだ。
「コンプレックスじゃないよ」
「そうなのね」
「だから君もね」
「超能力が自分や人の役に立つなら」
「いいんじゃないかな」
「お父さんやお母さんが言う通り」
「そうじゃないかな、ただ隠した方がね」
超能力はというのだ。
「何かと騒がれるし」
「黙っていた方がいいわね」
「そう思うよ」
「じゃあずっとあなたとお父さんお母さん以外には隠してね」
「子供が出来てもだね」
「言うと驚かせるから」
だからだというのだ。
「言わないわ、そうしてね」
「生きていくね」
「そうするわ」
こう言うのだった、そうしてだった。
魔美は普通の女性として生きていった、超能力は隠していったがもうコンプレックスには感じなかった。ただこっそりと自分と人を助ける為に使うだけであった。
サイコ=コンプレックス 完
2024・7
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