第25話:もう1つの真実
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とね。アイツが私のあの言葉を許していたらの話だけど」
だが、そんなアムの前にヘルハウンドの群れがやって来てしまった。
「よお裏切り者」
「裏切り者?」
このやり取りでアムは察した。
(こいつら……私と違ってまだ魔王の選民詐欺に騙されてるんだ……可哀想に……)
「つまり、私はもう魔王軍に居場所は無いって訳ね?」
それに対し、ヘルハウンドは冷徹に答えた。
「この世界の居場所すらな。何せ、魔王様から人間との共存を望むモンスター擬きを一掃し、モンスターに関する謂れなき悪評を覆せと命じられたからな」
それを聞いたアムは、改めてグートミューティヒと喧嘩別れした事を後悔した。
今、この世界は共存反対と言う名の自滅へと突き進んでいるからだ。
(これではっきりしたわ。あの女装糞男が星空の勇者に選ばれたのかを。あの選民詐欺野郎が作ろうとしている共生が禁じられた世界を止める為に。それをマドノの奴は自分勝手な理由で邪魔をしようとしている。これは確かに経験値稼ぎを目的とした大量虐殺に没頭している暇は無いわ!)
「それってつまり、人間共にとって私達モンスターは悪役って事よね?」
だが、魔王に言われるまま人間を見下し続けるヘルハウンドは、モンスターを悪者扱いするアムの言い分を嘲笑った。
「はははははは!何を言っている?この世は常に勝った方が正義。敗者はただ蹂躙されるのみよ」
ヘルハウンドのこの慈悲が無い言葉によって、アムは魔王とマドノの差がますます解らなくなった。
「と言うか、ほとんど一緒ね。あんた達とマドノ達の行動が」
その途端、ヘルハウンド達は不機嫌になった。
「何を言っている?我々が『人間に味方する星空の勇者』と同じだと?我々を嘗めて―――」
「ぶっ!ぶっくく!」
「貴様!何が可笑しい!?」
ヘルハウンドの言う『人間の味方をする星空の勇者』の部分で笑死しかけたアムだったが、直ぐに真顔に戻って自分の主張を口にした。
「そう言うあんた達こそ、弱肉強食の意味を全く理解していないわね?通りで魔王とか言う糞嘘吐きの選民詐欺に騙される筈だわ」
「裏切り者が!口を慎めよ裏切り者」
「いいえ。ハッキリ言わせて貰うわ。本来の弱肉強食と言うのはね、草、草食、そして肉食、それらがどの様な関係を築いているのかを表した言葉よ。つまり、強者が弱者を蹂躙して良いとは誰も言っていないわ。何故なら、弱者がいないと強者が餓死してしまうからよ」
「アホは貴様だ!強者が弱者の力を借りねば死んでしまうなど、在り得ぬ話だ!」
「いいえ!有るわ!だって、肉食動物は肉を食べないといずれは死んでしまうわ。だから、肉食動物は草食動物を殺す事はあっても、肉食動物が草食動物を根絶やしにする事は絶対にしない。草食動物が絶滅して困るのは肉食動物の方だからよ!」
「黙れ裏切り者!最早貴様は
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