第25話:もう1つの真実
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アムが視る限りではその逆を行っている様に視えた。
『これがマドノ達の現実だよ。出遭ったモンスター全てを敵とみなし、問答無用で攻撃し、自分の経験値に変える。モンスターには逃げる事すら許されない』
『なに寝惚けた事を言ってんだ?こいつらを皆殺しにして良いに決まってるだろ』
『そこの女装偽乳糞男、今日はこのくらいにしてやるが、次こそは死をもってあの時の罪を償う準備を整えておけ』
『これで人間よりモンスターの方が優れているって言えるのかよ!?』
牛乗りオーガの根城で起こった惨劇と、それに伴うマドノ達との戦いを思い出し、改めてこの2人がマドノとは似ていないと思えた。
(こいつら、自分で言ってる程傲慢には見えない。寧ろ妙な礼儀正しささえ感じる。これで本当にあのマドノの両親と言えるのか?)
「で、貴女が私達の息子の事を『偽勇者』と呼んでしまった事に、夫が過剰に反応してしまった事がどうしても気になると?」
突然話しかけられて少しビクッとするアム。
「え!?……えぇ」
だからなのか、率直な疑問を口にしてしまう。
「ただ……何と言うか……全然似てないなと、思いまして」
「似ていない?それは?」
「何と言いましょうか……私が思うに、息子さんが星空の勇者になれる程ご立派になったのであれば、もっと周囲に自慢しても―――」
その途端、マドノの父親は激怒した。
「自分の息子が何時モンスターに殺されるか解らない場所に放り込まれていると言うのに、暢気に自慢話をしろだと?ふざけるのも大概にしろ!」
「やめてアナタ!この方は私達の事を何も知らないのです!」
一方アムは、マドノの父親の剣幕の影響で牛乗りオーガの根城の中でマドノ達に殺されたオーガの子供を思い出した。
「いえ。私も息子を思う親の気持ちを考えずに軽口を言ってしまった事、深く反省しております」
そして、マドノの母親の話を聴く内、マドノの父親が代々天才学者を次々と輩出する名家の出である事が解った。
だが、マドノはその事を快く思っていなかった。
マドノは、他の兄妹とは違って勉学が大嫌いで、座学が大の大苦手だったのだろうと容易に想像できた。
そんなマドノが『星空の勇者の影武者』に任命されたら、喜んで了承するだろうと言う事も。
だがそんなマドノの心中に反し、マドノの両親の話はこの言葉で締めくくった。
「望むなら、何時殺される解らない危険極まりない戦場とは程遠い安全地帯で、思う存分平和に勉強三昧な日々を送って欲しかった。故に、私は我が息子マドノを星空の勇者に変えた星空を……永遠に憎む!」
マドノの父親のこの言葉は、正に息子の平穏と安寧を願う親心そのものだった。
故にアムは思った。
彼らになら、カプ・レヒレが語った星空の勇者に関する真実とその事で懐いてしまったグートミューティヒへの猜疑心を語っ
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