第25話:もう1つの真実
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男性の家に上がり込んだアム。
どうやら、彼は学者らしく無数の本が収まった本棚が沢山有った。
「うわぁ……かなり難しそうな本がずらっと……」
この本棚を観ただけで眠くなりそうなアムだったが、今はそれどころではない。
何故あの男性はアムの『偽勇者』にそこまで過敏に反応したのか?そして、マドノが星空の勇者の影武者である事実を否定した途端に見せた、あの期待外れの様な悲しげな顔は何だったのか?
アムはそれを知りたかった。
(でも……その前に!)
「失礼ですが、こちらの本を読んでみてもよろしいですか?」
「……どうぞ」
容赦無く襲い掛かる睡魔を我慢しながら書物の内容を視た結果、アムはこの男が魔王軍の味方ではないと確信した。
「で、この私に訊きたい事とは?」
向こうから勝手に本題に入ってくれた事を感謝しつつ、アムは単刀直入に言った。
「私がマドノを『偽勇者』と呼んでしまった事を必死に否定した時、貴方は何故、そんな悲しげな顔をしながら期待外れを見下すかの様な顔をしたのです?」
男性は答えない。
だが、アムはどうしてもあの表情の正体を知りたいが故に質問を続けてしまう。
「私には、まるで『マドノが星空の勇者の影武者だったら良かったのに』と言ってる様にしか視えませんでした」
男性はピクッと反応したが、それでも答えない。
「何故です!何故貴方は、マドノが星空の勇者である事を否定したがる!?マドノが既に無数のモンスターを次々と殺していると言うのに!」
その途端、男性は再びアムの両肩を揺すった。
「マドノが無数のモンスターを殺しただと!?モンスターは戦ったのか!?マドノを!」
男性の鬼気迫る表情に臆しながらも、アムはマドノに関する事実を口にする。
「経験値を稼いでレベルを最大にまで上げるべく、数多くのモンスターを次々と殺してますよ!」
その途端、男性は愕然として座り込んでしまった。
「マドノが……モンスターと戦わされている……そんな……」
状況が全く理解出来ないアムが慌てる中、男性の妻と思われる人物がアムに話しかけた。
「私がお話しします」
「貴女は?」
「マドノの母です」
想定外の人物の登場に理解が追い付かないアム。
「は!?母お……え!?……」
取り敢えずマドノの母親を名乗る女性に紅茶を御馳走して貰ったアムは、改めてマドノと彼らとの関係を尋ねた。
「えー……と……そちらがマドノの父親で、そちらがマドノの母親……で、よろしいですね?」
「はい」
そのやり取りに対し、アムはどうしても首を傾げてしまう。
自身が知っているマドノとはまるで似ていないからだ。
確かに、言われて視れば外見はマドノにそっくりだが、内面があまりにも違い過ぎるのだ。
寧ろ、もっと傲慢になって星空の勇者となった息子を過剰に自慢しても良いと思えたが、
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