第二章
[8]前話
「しかしです」
「劣るというのですね」
「王妃様と比べると」
「それはです」
王妃はさらに言った。
「かなりですが」
「どうして彼女と浮気をしたのか」
「わかりません」
「乳もそうでした、浮気はです」
男のそれはというのだ。
「伴侶とは全く違うタイプをです」
「選ぶのですか」
「その様です」
「身分が低く器量も落ちる」
「母は高貴で美しかったです」
その美貌に満ちた顔で話した。
「そうでした」
「それで、ですか」
「父はその母を愛しつつも」
それと共にというのだ。
「浮気を繰り返してきました」
「そうした人とばかり」
「そうでした、そして」
「お母上も黙っておられたのですね」
「王侯の結婚は愛し合うだけではないですね」
女官にこう返した。
「そうですね」
「はい、それだけでなく」
女官も答えた。
「家と家、それも王となれば」
「国と国です」
「非常に大きいです」
「ですから」
そうしたものだからだというのだ。
「こうしたことがあろうとも」
「言わないのですね」
「まして王は私を愛してくれています」
このことも言うのだった。
「多くの子ももうけていますし」
「それならよいですか」
「そうです、何も言わず」
「そのままでおられるのですね」
「そうします、それにです」
王妃はさらに話した。
「私も何かとやることがあります」
「王妃として」
「様々な務めがあるので」
「そちらに励まれるので」
「こうしたことは小さなことでしかありません」
王妃から見ればというのだ。
「ですからこのまま気付かぬふりをして」
「王を愛され」
「また務めを果たしていきます」
「これからもですね」
「そうしていきます」
こう言って実際にそうした、王妃はその美貌だけでなく務めを果たしていることから民に愛された。そして王と仲睦まじい様子も讃えられた。
だが後の世にその王の不倫の話が伝わった、そしてそのことに対する態度も評価された。王妃としてあるべき姿だと。黙っていたことを批判する者もいたがおおむねそう評価された。
侍女と不倫 完
2024・10・24
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