第110話 第一〇二四哨戒隊 その1
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散などで生じた未配備の余剰戦力を殆ど自動的に切り貼りして、とりあえず分隊の形に揃えたモノを規定割に合わせて再結合させた編成が大半だ。流石に三隻以下で分隊を組むことはないが、四隻で編成されるのはザラ。実際、第一〇二四哨戒隊の総戦力は三〇隻。巡航艦分隊と駆逐艦分隊の全てが、定数より一隻少ない四隻で編成されている。
次に艦の質の問題。『未配備の余剰戦力』が編成の基本になるので、ピカピカの新造艦が配備されることはあまりない。長距離哨戒任務もあるので機関まわりのオーバーホールは新編成時において念入りになされているが、艦齢一〇年から二〇年の艦が多い。歴戦の闘士艦と言えば聞こえはいいが、中古艦艇であることに変わりはない。
そして乗員の質の問題。定数同様に『未配備の余剰戦力』という言葉は、第四四高速機動集団に配備された第八七〇九哨戒隊のように、戦力の過去に『何か不都合』があった場合に多く生じるものだ。制式艦隊や各独立部隊、警備艦隊や星間巡視隊から零れ落ちた乗組員の転属も多く、さらに昇進するに値する功績があってもポストの問題で身の置き場のない中堅幹部と、基礎訓練を終えたばかりの新兵がごちゃまぜで、質が良いとはお世辞にも言えない。
色々問題だらけでもとにかく一隊として編成するのは、哨戒隊の主任務が定期的なパトロールにおける遭遇によって、侵略を試みる帝国軍を現場で最初に確認し、触接を続けることにあるからだ。広大な辺境領域を調査する為にはとにかく『数』が必要となる。
侵略してくる帝国軍制式艦隊は容易に万の単位であるから、まともにやり合えば一〇分もかからずに蒸発させられる。だが蒸発させられる僅かな間に、可能な限り多くの情報を後方へと送り出さねばならない。軍内部で哨戒隊を意味する隠語は『カナリア』だ。
もちろん帝国軍の大規模戦力がひっきりなしに行われることはないし、何の兆候もなしにイゼルローン回廊から出てくることもない。だからいきなり『ジ・エンド』というパターンは少ないのだが、帝国軍も無能ではないので、同じような小戦力を使って常日頃から強行偵察や索敵妨害・偽装工作を仕掛けてくるから、哨戒隊同士の戦いが頻繁に発生する。
基準となる赴任期間は二年。ハイネセンで部隊が編成され、各辺境星域管区に赴き任務に就くことになる。そして赴任期間満了時にはハイネセンへと帰投するのだが、それまでの平均致死率は二五%を超える。『致死率』でそうだから、死なないまでに体が破壊された者、心を破壊された者の数も含めるとあまり考えたくない話だ。
さらに俺だけに限って言えば、あの悪霊が間違いなく邪魔をしてくる。奴の自称であるとはいえ、トリューニヒトをして選挙区を任せられると言わしめるような地元がポレヴィト星域であり、第一〇二四哨戒隊の根拠地となるシャンダルーア星域と
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