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神々の塔
第八十六話 たらし達その十二

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「お主達のことがわかったからな」
「そう言ってくれますか」
「うむ」
 そうだというのだ。
「この世界を救えるとな」
「そうですか」
「そのうちわかる」
 伊藤はこうも言った。
「この世界を襲う危機が何であるか」
「そのこともですね」
「やがてわかる」
 そうだというのだ。
「お主達もな、しかしどういった危機でもな」
「救えますか」
「絶対にな」
 そうだというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「わしは安心して楽しくな」
「うち等を見守ってくれますか」
「そうする」
 まさにというのだ。
「これよりな」
「そうですか」
「宜しく頼むぞ、それでわしはな」
 伊藤はこうも言った。
「これから大隈の家に行ってな」
「大隈重信さんの」
「昼寝をする」
 そうするとやはり笑って話した。
「気持ちよくな」
「待て、またか」
 その大隈がむっとして言ってきた。
「何かあれば吾輩の家に来るが」
「駄目か」
「駄目とは言わぬが」
 どうにもという顔で言うのだった。
「少し来過ぎだぞ」
「ついつい居心地がよくてな」
「全く、では部屋を用意しておくからな」
「ああ、布団や枕はいいからな」
「そこで雑魚寝だな」
「いつもの様にな」
「わかった、では好きなだけ寝るのだ」
 大隈も大隈でそれならと返した。
「いいな」
「それではな、そしてお主達に最後に言おう」 
 伊藤は大隈とのやり取りが終わると一行に向き直ってあらためて言った。
「同じ言葉だがお主達なら大丈夫だ」
「そう言ってくれますか」
「うむ、そうだ」 
 まさにというのだ。
「では行くのだ」
「そうします」
 綾乃は微笑んで答えた、そうしてだった。
 一行はこれまで通り宿屋で身体を清め乾杯をして一泊した、そのうえで気力と体力を回復させてさらに先に進んだ。


第八十六話   完


                    2024・8・15
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