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ヘタリア大帝国
TURN52 田中の苦境その三
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「ですからこれからはです」
「下手な突出もかよ」
「このままでは本当に命に関わります」
 実際に田中は何度も死にそうになっている。今まで生きているのは彼の強運のなせる業だ。
「部下の人達のこともありますから」
「だからってのかよ」
「はい、軽挙妄動と捉えられる行動はです」
 それはだというのだ。
「慎まれて下さい」
「くっ・・・・・・」
 田中は日本妹の親身の言葉が心の沁みた。そしてそれ以上に己の至らなさに情けなさも感じていた。そしてこのことは参謀総長である秋山にも言われた。
「君はもう少しだ」
「考えて動けっていうんだよな」
「あの朽木イザベラという提督にしてやられてばかりだな」
「ああ、そうさ」
「あの提督は確かに手強い」
 秋山もそれは認める。だが彼はそれ以上のことを言う。
「しかしそれでもだ」
「俺もだってんだな」
「そうだ。君には軽挙妄動が多い」
 秋山は日本妹とは違う。確かに厳しい。だからこそ田中に対しても非常に厳しい言葉でこう言ったのである。
「それが無駄な損害につながっているのだ」
「それを何とかしろっていうんだな」
「そうだ。考えることだ」
 こう田中に告げるのだった。
「いいな、そうすることだ」
「わかってるさ、くそっ」
「悔しいと思うのなら己を変えることだ」
 秋山は再び田中に厳しい顔で言う。
「そして自分に向いた戦い方を考えることだ」
「俺の?」
「そうだ。君に向いた戦い方だ」 
 秋山はさりげなく田中にアドバイスもした。
「そのことも考えることだな」
「俺に合った戦い方かよ」
 それが具体的にどういったものかというと田中も首を捻る。しかしだった。
 その答えは何日考えても出なかった。彼にしては珍しく悩んでいた。
 色々と考えてみても今の艦隊指揮、駆逐艦をメインにした突撃戦術の他にこれといって考えつかない。だがその彼に今度は。
 東郷が来た。というよりか海軍省に田中が仕事で赴いた時に廊下でばったりと出会った。田中の方から東郷に対してつっかかった。
「俺のことを笑ってるのかよ」
「太平洋戦線で随分やられてるらしいな」
「ああ、そうだよ」
 田中は苦々しい顔で東郷に返した。
「あんたも聞いてる通りな」
「やはりガメリカ軍は強いな」
「損害を出してるのは俺だけだよ」
 それだけ彼がいつも突出してイザベラに向かい敗れているということだ。
「それはな。けれどな」
「それでもか」
「俺は何時か絶対にな」
 どうするかというのだ。
「やってやるからな」
「そういえば俺を超えると言っていたな」
「あんたを押しのけて海軍長官になってやる、けれどな」
 珍しくこうしたことを自分から言う田中だった。
「今の俺じゃあな」
「わかっているのなら考える
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