第二章
[8]前話
「やらせてもらいます」
「それじゃあお願いするわ」
「それでは」
こう話してだった。
その先輩の荷物も持った、他にも。
落ち込んでいる同期の男の社員のところに行ってだ、そっと紅茶を出してそのうえで言ったのだった。
「飲んで」
「差し入れかよ」
「そう思っていいわ、一杯飲んでね」
カップの紅茶をというのだ。
「頑張りなさい」
「悪いな」
「お礼はいいわ」
こう言ってだった。
彼の傍から去った、いつもこうした調子であり。
飲みに行った時にだ、同期のOL達からこう言われた。
「あんた冷たいっていうけれど」
「全然よ」
「何かあったら自分から助けに来てくれて」
「気遣いもしてくれるし」
「温かくてね」
「いい人よ」
「そんな筈ないわ」
居酒屋で飲みつつ応えた。
「私はね」
「いや、そう言うけれど」
「今だって注文してくれて」
「何を飲んで食べたいか聞いてくれるしね」
「そうかしら。私は自分で言っている通りに」
無表情で日本酒を飲みつつ応えた。
「とてもね」
「冷たいっていうのね」
「自分では」
「そうなのね」
「ええ」
その通りだというのだ。
「お顔にも出ているわ」
「いや、お顔はどうでも」
「その行いがね」
「酷いこおも言わないし」
同期達はそれでもと言った。
「いい人よ」
「そう言うしかないわ」
「あんたはね」
「そうかしら。それはそうと皆今度は何を頼むのかしら」
こう言ってだった。
同期達に注文を聞いた、そして店の人を呼んで注文したが注文したものが来た時に持って来た店員にお礼を言った。
そんな彼女もやがてある人と結婚した、そして夫や息子もいい妻であり母親だと言った。とても優しくて気遣いの出来る人だと。
自称冷たい女 完
2024・10・23
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