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おぢばにおかえり
第八十三話 回廊ひのきしんその三十二

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「嫌いじゃないとです」
「しないのね」
「はい、暴力は絶対にです」
 こう私に答えてくれました。
「振るわないです」
「そうよね、新一君は」
 私が知る限りではです。
「そうしたことはしないわ」
「暴力は絶対に駄目ですよ」
 こうも言いました。
「お酒飲んで奥さんや娘さんに暴力振るう親戚もいますし」
「そんな人もいるのね」 
 新一君の親戚の人にはです、何かこの子は学校でも身内でもかなり色々な人に出会っているのをここでも察しました。
「新一君はつくづくね」
「いい人にも悪い人にも会ってきてますね」
「多過ぎでしょ」
 どちらの人に会うこともです。
「あの働かない叔父さんとそのお母さんもいて」
「それでなんですよ」
「そんな人もいて」
「これがその二人並の鼻つまみ者で」
「そりゃ嫌われるわね」
 暴力振るうならです。
「酷い人みたいね」
「ひがみ根性強くて愚痴言って」
「酒癖悪いのね」
「そうなんです」
「それでその人見てなの」
「僕としてはです」
「暴力反対なのね」
「そうなんです」 
 こうお話してくれました。
「どうにも」
「誰にも暴力振るわないのね」
「家じゃ猫に振るわれてますけれどね」
「いや、猫はいいから」
 これは冗談だとわかりました。
「別にね」
「そうですか」
「というか新一君のお家には猫がいたわね」
「覚えてました?」
「今思い出したわ」
「いやあ、雄のスコティッシュフォールドなんですが」
 新一君は笑顔でその猫のことをさらに言ってきました。
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