第31話:アリューシャの悲劇
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エドンは神妙な面持ちで答えた。
「長老は……旅立った。取り返しがつかなくなる前に」
旅立った?
何処へ?
どう言う意味だ?
「仕方なかったのだ。長老にこれ以上罪を重ねさせない為にも」
仕方なかった……だと……
「まさか!殺したと言うのか!?」
私の問いに対し、エドンは怒った様に言い放った。
「他に方法が無かったのだ!」
だが、私は到底了承出来ない言葉だった。
「無かった……ですって……」
「あの時の長老は正気ではなかった……この里の子供まで殺していた―――」
「だから長老を殺したと言うの?」
エドンはサラッと禁忌の言葉を言い放った。
「そうだ。アレはもう長老ではない」
なんて事を……なんて事をしたんだ!
私は……無意識の内にエドンの胸倉を掴んでいた。
「何故……何故助けなかった!」
だが、エドンが言った言葉は、
「その言葉、そっくりそのまま返すよ。長老に殺された同胞を何故助けなかった?」
エドンは怒っていた。
あまりにも理不尽で、意味不明な理由で。
「それと……暴走した長老からこの里を守ってくれた恩人達なら、既にこの里を去ったよ」
「去った?長老を殺した連中に何の罰も与えずにか!」
「彼女達は『某達が来てしまったから奴らが里に来た』と言ってくれたが、正直、恩知らずな行為を強要された気分で腹ただしいよ」
「エドンが、恩知らず?」
「俺だけじゃない!この里全員がだ!」
すると、エドンは私の手を振り払い、
「俺も何時かこの里を出るよ。この事件が来るまでは、聖武具を護る事に誇りを持っていたが、所詮はただの引き籠りの自己自慢だったよ」
そう言うと、エドンは不機嫌そうに去って行った。
「……なんだよ……あんな言い方……」
ノノ・メイタperspective
僕は、今回の一件で確信した。
「ツキツバさん!」
「またかよ」
今はセツナと口喧嘩している場合じゃない!
「やはり急いでセイン様の許に往きましょう!」
そうだ!
今回のエルフの里の悲劇の様な事を一刻も早く終わらせる為にも、急ぎセイン様と共に魔王を倒さなきゃ!
だけど……
「申し訳ありません。今回ばかりはノノ殿を庇う事は出来ませぬ」
「え!?何で!?」
そんなツキツバさんの表情は、どこか怒っていて、僕は怖かった……
「本当に急ぎ魔王を倒さねばならぬのであれば、何故セイン殿はこれと言った動きを見せぬのです?」
……確かに、ツキツバさんの言い分にも一理あった。
その証拠に、魔王の手下はどれもツキツバさんばかり襲っている様に観える。
セインの言う通り、魔王はセイン様よりツキツバさんの方を危険視して……
「でも……魔王を倒せるのは勇者だけなんだ」
その事実を口にしてはみたが、だとすると、魔王の手下達の今までの行動が矛盾する
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