第一章
[2]次話
骨格模型の噂
学校に付きものの噂だった。
「あの骸骨の模型本物?」
「理科室にある」
「そうなの?」
「それ本当?」
「そうらしいぞ」
小学六年生のクラスでだ、長谷川英聡丸坊主の頭で愛嬌のある顔立ちでやや小柄な彼がクラスメイト達に対して話していた。
「本物の人間の骨らしいぞ」
「本当かな」
「まさかと思うけれど」
「幾ら何でもないんじゃない?」
「本物だなんて」
「そんなに言うなら」
長谷川はクラスメイト達に言った。
「先生に聞くか自分達で調べるか?」
「本当かどうか」
「本当に骸骨か」
「人間の骨か」
「どうなのか」
「こうした時は聞くか」
長谷川はまさにという口調で言った。
「自分達で調べるか」
「どっちかか」
「じゃあ先生に聞く?」
「そうする?」
クラスメイト達はそれならと言ってだった。
まずは担任の田中栄光先生、細い目で色黒で大柄で黒髪をセットした中年の先生に聞いた。するとだった。
先生は笑ってだ、長谷川達に言った。
「そんな筈ないだろ」
「本物じゃないですか」
「そうなんですか」
「あの骸骨人間の骨じゃないんですか」
「本物だったら大変だよ」
こう自分の生徒達に言うのだった。
「それこそ。何なら先生も一緒に行くから見てみるか」
「本物かどうか」
「その骸骨の模型が」
「その目で確かめることですか」
「そうしようか、自分で調べれば」
そうすればというのだ。
「自分でわかるからね」
「それじゃあですね」
「これからですね」
「理科室に行って」
「骸骨の標本見ればいいですね」
「それじゃあお願います」
言い出しっぺの長谷川が先生に頼んだ。
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