第一章
[2]次話
お墓の上で
アメリカミシガン州の話である。
トール=ダスは家族と一緒にこの州のある街で暮らしている。仕事はサラリーマンだ。その彼の家には二匹の犬がいた。
一匹は銀の毛のシベリアンハスキーの雌のマリー、もう一匹は黒と茶と白の垂れ耳のミックスの雌犬エリーだった。二匹は同じ位の大きさでずっと一緒にいた。
「クゥン・・・・・・」
「マリー今まで有り難う」
ダスは今にもこと切れそうなマリーに別れの言葉を告げた、穏やかな面長の顔で栗色の髪の毛をセットしている青い目の長身で痩せた中年男性だ。
「天国でまた会おうな」
「ワン・・・・・・」
そのマリーをだ、エリーも見送った。そして。
マリーは世を去った、すると。
エリーは目に見えて悲しみ寂しがった、ダスはその様子を見て家族に話した。
「九年ずっと一緒だったからな」
「ええ、本当に仲がよくて」
「喧嘩もしたけれど」
「ずっと一緒だったからね」
妻に息子、娘も言った。
「やっぱり寂しいわよね」
「僕達も寂しいし」
「ずっと一緒だったエリーは尚更ね」
「あの娘の好きにさせよう」
ダスは彼女を気遣って言った。
「今は」
「それがいいわね」
「そっとしておこう」
「悲しみが癒えるまでね」
「そうしよう」
家族で話してだった。
そのうえでエリーがしたい様にさせた、マリーは家の庭に埋められそこに墓がもうけられて眠った。その墓の上にだ。
「そうか、今もか」
「クゥン・・・・・・」
エリーは庭に出ると必ずだった。
マリーの墓の上に来てそこに寝そべった、そして暫くそこにいるのだった。
ダスはその彼女を見てだ、また家族に話した。
「ずっとな」
「マリーを偲んでるのね」
「一緒にいた時を思い出して」
「亡くなったことを悲しんでもいるのね」
「うん、同じ犬だから」
それ故にというのだ。
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