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レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission5 ムネモシュネ
(6) トリグラフ中央駅(分史)~チャージブル大通り(分史)
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言い方して」
「ううん。いいんだよ。誰でもそう言いたくなる時ってあるよ」

 ジュードのいらえはどこまでも血が通っている。

「レイア」
「ん、なに、ユティ?」
「さっきはごめんなさい。怖い目、あわせて」

 レイアは苦味の強い苦笑をした。

「いいよ、もう。でも、できればもうやらないでほしいかなー」
「しない。絶対」
「じゃあ、いいよ」

(ふしぎ。どうしてジュードもレイアもこんな、簡単に人を信じて、許せるんだろう。自分への見返りとか、裏切りとか、考えないのかしら)

 ユティの疑問に最も答えてくれそうなアルヴィンを見やる。
 アルヴィンは視線に気づくと、こちらに来て、ルドガーとユティの肩にまとめて両腕を回した。

「うわっ。何だよ、アルヴィン」
「アルフレド?」
「まあ、何だ。俺ら全員、覚悟してここにいるとは言い切れねえよ。でも、一人よりマシ、だろ」
「アルヴィン……」
「ルドガーはどうだ? 俺らが一緒にいるのは迷惑か?」

 ルドガーは笑みながら首を横に振った。
 アルヴィンは満足げに腕をほどくと、強くルドガーの肩だけを叩いた。痛いよ、と小突き合うルドガーとアルヴィン。

(撮らなくちゃ)

 ユティはカメラを構えてシャッターを切った。特に動きがある画ではないのに、連写モードで。

(今ここで起きてる、ささいな、でもとても尊いこと。この人たちが幸せそうに笑ってること。残さなきゃ、残らない。そういうことなのね、バランおじさま)

 自身が壊した、それでも愛していた男たちの片方の教えを、今日、ユースティアは本当の意味で理解した。

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