Mission
Mission5 ムネモシュネ
(6) トリグラフ中央駅(分史)~チャージブル大通り(分史)
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いなかったように記憶してる」
「……そうじゃなくても、ふとした瞬間に『あ、こいつとは付き合えない』って思うこと、あるだろ」
「よく分からない。とーさまとかーさまと、おじさまたち以外に会った人、ほとんどいない。他の人間は分からない」
「……そうか」
曇りの日特有の生ぬるい風がユティとルドガーに等しく吹きつける。
ルドガーはエルたちを待つつもりらしいので、ユティも倣って離れた位置の建物の壁に凭れた。
手にはGHS。メールを打つ。送信先はユリウス一択だ。行き先と全員の無事を書いて送信した。
「ルドガー」
「何だ」
「さっきの。ルドガーにも言えること」
「覚悟はしてる。ユティの言ったように、何千何万の人間の首を絞める作業だろうがやってみせる。できなきゃ、エージェントなんて務まらない」
覚悟よりも矜持が、ルドガーの行動の軸になっている。
ではその矜持は誰に対するものなりや?
ユリウスだ。ユリウスを見返すため。おそらくルドガーの現在最大の動機。
子供じみていると思うことなかれ。この手の小僧の負けん気は、表に出さない限りは良質な炉心になってくれる――とふたりの男の内一人が言っていた。
「なら心配しない。でも、万が一、できないと思ったら、言って。ワタシがやる」
「分史世界を壊せるのは骸殻能力者だけだ」
「できるの、ワタシにも」
ルドガーの翠眼には濃い疑念。ここまで言えば察せそうなものなのに、案外ニブイのだろうか。さらなる暗示を言おうと口を開きかけて。
「ルドガー!!」
ふり返る。エルとジュードたちがユティたちの前まで駆けてきた。
「もー、かってに先に行かないでよ! 迷子になったらどーするの!」
「エルにだけは言われたくない」
ルドガーはエルのほっぺを抓った。「いひゃいいひゃい」とエルはじたじた暴れた。ルルが威嚇したのでルドガーも途中でやめた。レイアにしがみつくエルは涙目だった。
「エルはどうしたの? ワタシとルドガーが迷子になってたら」
「そんなの探すに決まってるじゃん」
快刀乱麻な回答。ユティとルドガーは顔を見合わせた。
「もちろん僕たちもね」
ジュードとレイアが朗らかに、アルヴィンは肩を竦めて、笑いかけている。
「……いいのか? 見つけなきゃよかったって後悔するかもしれないんだぞ」
「絶対しない」
ジュードが間髪入れずに答えた。
「後悔しないために、一緒に来たんだ。僕も、レイアも、アルヴィンも、みんなね」
誰の顔にもルドガーへの恐怖や不信はない。彼らは本気でルドガーと共に世界を壊すつもりだ。
覚悟は後から付いて来るからいい。重要なのは、そこに意思があるか。
「ありがとう……それと、ごめん。突き放す
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