第二章
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「うわ、ルサーラ輿水」
「嫌な奴が来たわね」
「あいつやたら偉そうでね」
「すぐにくどくどお説教するのよね」
ホステス達は彼を見ると瞬時に嫌な顔になった。
「この界隈じゃ有名で」
「うちにはずっと来てなかったのに」
「来たわね」
「嫌ね」
だが客は客だ、それでだ。
ホステス達は彼にも応対するしかなかった、それでだ。
彼の高圧的かつ傲慢な説教を受けた、それは房江も同じだが。
彼がだ、房江にこう言ったのだった。
「君は大学生だね」
「はい、そうです」
房江はすぐに答えた。
「お昼は大学に通っています」
「こんな仕事していないでちゃんと働け」
こう言うのだった、最高級のブランデーを飲みながら。
「ホステスなんてな」
「いえ、ホステスは立派な仕事ですので」
房江は彼に微笑んで答えた。
「誇りを以てしています」
「誇り!?」
「はい、こうしてです」
「ホステスなんかに誇りか」
「ですからこのお店にいますし」
「ホステスの店にか」
「いいお店です、ホステスのお仕事も」
微笑んで毅然として言うのだった。
「そうですので」
「こんな仕事がか」
「こんな仕事の人のお店に来る方が問題では」
「何っ!?」
「おい、あんたいい加減にしろ」
ここで彼に別の客が言ってきた。
「ネットやテレビだけじゃないんだな、今の発言全部ネットに流したからな」
「何だと!?」
「また炎上するぞ、だからこれ以上言うな」
「ちっ・・・・・・」
彼は露骨に舌打ちした、そしてだった。
忌々し気に席を立って店を後にした、房江も他の店の者達も礼儀正しく見送ったが。
「よく言ってくれた」
「すかっとしたよ」
「グッジョブよ」
客も店員もホステス達も房江に笑顔で言った、房江はそんな彼等に微笑んで言った。
「事実ですから、ホステスは立派なお仕事ですよ」
「職業に貴賤なし」
「そういうことだな」
「要するに」
「犯罪でないですから」
だからだというのだ、こう言ってだった。
房江は大学に通っている間ホステスとして働き学費と生活費を手に入れた、そうして卒業すると普通のOLになった。ホステスをしていたことは特に言わなかったが恥じなかった。だが輿水はどんどん評判を落とし遂には何処からも声がかからなくなった、そうしてもうホステス達にも何も言えなくなった。
ホステスして悪いか 完
2024・10・20
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