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おぢばにおかえり
第八十三話 回廊ひのきしんその二十九

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「一体」
「間違えたり勘違いしたり」
「先輩を?」
「はい、実はいい人じゃなくて」
 私を見て言いました。
「極悪人だって」
「そうだったのね」
「最低の残酷で陰湿な」
「陰湿なのは新一君の悪い面でしょ」
 何しろあるこちないこと言い回るからです。
「あらためないといけない」
「そうですけれどね」
「自分のこと言ってなの」
「余計に思います」
「思うならなおさないといけないけれど」  
 それでも新一君の場合はです。
「新一君のそうしたところってね」
「中々なおらないですからね」
「そうした癖性分なのはわかってるわ」
 一年以上付き合ってきてです。
「それで根本に何があるかね」
「にくい、うらみ、はらだちですね」
「その三つが強過ぎるのよ」
 他の人とは比較にならない位にです。
「だからね」
「嫌いになると徹底的になるんですね」
「そうよ、何をしてもいいっていう位にね」
「法律やルールは守りますけれど」
「そういうのから出たら犯罪者よ」
 そうなることも注意しました。
「法律はちゃんとあるのよ、法治でね」
「人治じゃないですね」
「そうよ、おみちだってね」
 こちらもです。
「ちゃんとあるでしょ」
「教義が」
「教義つまり教えはちゃんと守らないとね」
「駄目ですね」
「それをしているかどうかで違うの」
 人としてです。
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