第三十八話 狭い道を歩いてその十二
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「やっぱり人は至らないところもあって」
「失敗したり間違えたりするわね」
「ええ、けれど」
それでもというのだ。
「犯罪はしないで」
「流れ流れも平和であって」
「そうであってね」
「最後は落ち着けて幸せなら」
「それで仲がよかったら」
「それでいいね」
「そう思うわ。人生色々で」
そうであってというのだ。
「何かとあっても」
「最後ほっと出来たら」
「いいわよね」
「そういえば幸村公と十勇士の方々も」
佐京はあらためて彼等のことを思って言った。
「大阪の陣があって薩摩に落ち延びて」
「その後で世界を巡って」
「大冒険をしたらしいけれど」
それでもというのだ。
「最後はね」
「薩摩に戻られて」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「今言った通りにね」
「ゆっくりと過ごされたのね」
「薩摩は仮寝の宿だったかな」
幸村と十勇士達にとってはというのだ。
「上田でも大坂でもないし」
「上田が故郷で大坂が長くおられた場所で」
「そして薩摩は逃れた場所で」
「そう考えたらね」
夜空はまさにと話した。
「仮寝の宿ね」
「皆さんから見たら」
「ええ」
まさにというのだ。
「そうなるわね」
「やっぱりそうなんだね」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「その仮寝の宿の薩摩でね」
「落ち着いて」
「それがね」
それこそというのだ。
「ずっとね」
「続いたね」
「江戸時代が終わるまでね」
「代々」
「そうだったのよ」
「長い仮寝の宿だね」
佐京は善哉を前にして微笑んで言った。
「江戸時代が終わるまでなんて」
「代々ね」
「そうだね。けれどそれでほっと出来たら」
そうであったならというのだった。
「仮寝の宿でもね」
「いいわね」
「そうだね、実際薩摩では戦もなくて」
「穏やかに過ごせたわね」
「江戸時代が終わるまでね」
「そうだったわね」
「何でも幕末の薩英戦争や戊辰戦争には参加されたそうだけれど」
そうした戦いにはというのだ。
「基本ね」
「ずっとよね」
「平和だったから」
「仮寝の宿でもね」
「悪くなかったみたいだね」
「そうね、仮寝の宿が永遠の宿になってもね」
それでもというのだった。
「いいわね」
「ほっと出来たらね」
「それならね」
二人で笑顔で話した、そしてだった。
善哉をそれぞれ二つずつ食べると店を後にした、そしてまた懐かしさを感じさせる石造りの道を一緒に歩いたのだった。
第三十八話 完
2024・8・15
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