暁 〜小説投稿サイト〜
金木犀の許嫁
第三十八話 狭い道を歩いてその十一

[8]前話 [2]次話
「皆さん残念だったと思うけれど」
「戦ってそうして」
「その戦国時代を終わらせたよ」
「そうだったわね」
「けれど本心は戦わないで」
「皆で平和に暮らしたかった」
「太平の世でね」
「そうだったわね」
「けれどそれが出来なくて」
 それでというのだ。
「薩摩に逃れてから」
「出来る様になったわね」
「多分戦のない時がね」
 幸村と十勇士達にとってはというのだ、そしてその時期は実は長いものであったことも事実である。
「一番幸せだったよ」
「その時が」
「皆で和気藹々としていられて」
「皆さんお酒が好きで」
「そう、よく十一人で集まってね」 
 そうしてというのだ。
「車座になって飲まれたそうだよ」
「そうなのね」
「車座になって」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「そうよね」
 まさにというのだ。
「楽しく飲まれていたわね」
「伝え聞くところによるとね」
「そしてそうした時が」
「一番幸せだったのね」
「そうだったらしいよ」
「そうなのね」
「戦で有名になるより」 
 そこで天下無比の武名を挙げてもというのだ。
「無名でもね」
「平和で楽しく暮らせたら」
「よかった筈だよ」 
 幸村達はというのだ。
「本当にね」
「だったら」
 夜空は佐京の話をここまで聞いて言った。
「子孫の私達もね」
「平和に暮らせたらいいね」
「それで別にね」
「恰好よくなくてもいいね」
「ええ、別にね」
 これといってというのだ。
「その筈よね」
「恰好よくなくてだらしないところがあっても」
「それでいい加減でもね」
「平和で仲良く暮らせて」
「そしてね」  
 そのうえでというのだ。
「仲良く出来て」
「二人で」
「それで最後ほっと出来たら」
 まさに織田作之助の作品の様にというのだ。
「もうね」
「いいね」
「そう思うわ」
 まさにというのだ。
「私はね」
「それがいいね、努力していい人になることだけれど」
 佐京はそれでもと応えた。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ