第二章
[8]前話
「一年の間にですよ」
「変わったか」
「はい」
会社で上司の部長に話した、彼は課長である。
「これが」
「そうなんだな」
「何かとです」
「戸惑っているか」
「はい、姪が来て女房がリウマチになって」
そうしてというのだ。
「その他にもです」
「変わっているか」
「一年の間に、そんなのちょっとと思っていたが」
これがというのだ。
「かなりです」
「ちょっとじゃないだろ、一年は」
部長は雄に真顔で言った。
「やっぱり長いぞ」
「だからですか」
「その間にな」
「何かと変わりますか」
「これまでもそうだったんじゃないか?」
「家にいる間も」
「その一年の間に」
暮らしているうちにというのだ。
「変わっていっただろ」
「そうですか」
「だからな」
それでというのだ。
「こうしたことはな」
「もうですか」
「ああ、変わっていて当然だってな」
「思うことですか」
「それで受け入れるしかないさ、私なんて一年タイにいる間に」
その間にというのだ。
「娘が結婚して子供が出来たんだ」
「一年で」
「そうもなるからな」
「一年あればですね」
「何かと変わるんだ」
「そうなんですね」
「気付かなくてもな」
こう雄に話した、雄もその言葉にそうなのかと思った。それで変わってしまった家で過ごしていったが。
やがて慣れた、それで一家四人で夕食を食べる時に言った。
「馴染んだな」
「お家が変わっても」
「うん、変わっても家だからな」
自分のというのだ。
「馴染むな」
「そうなのね」
「じゃあ四人で仲よくな」
妻に真央を見つつ話した。
「暮らしていこうな」
「そうしましょう」
「今日のおかず私と綾ちゃんで作ったの」
真央は笑顔で言ってきた。
「ハンバーグね」
「そうなのか」
「美味しい?」
「ああ、美味しいよ」
姪に笑顔で答えた。
「とてもね」
「それは何よりよ、じゃあこれからもね」
「宜しくな」
「仲よくね」
「変わっても受け入れることね」
娘も言った。
「いいことなら馴染むから」
「そうだな、よくわかったよ」
娘の言葉に頷いた、そうしてハンバーグをおかずにご飯を食べた。するとやはり美味く自然と笑顔になった。
一年外国にいたら 完
2025・10・19
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