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一年外国にいたら
第一章

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                一年外国にいたら
 長かった、松岡雄は一年イギリスにいた。
「やっとだよ」
「うちに帰ってくるのね」
「そうだよ」
 スマートフォンで妻の明日香、黒髪をショートにしていて垂れ目で優しい顔の一六〇位の背のすらりとしたスタイルの彼女に話した、雄は細目で口が大きく四角い顔で黒髪は真ん中で分けている。やや太っていて背は一七八位だ。
「リバプールからな」
「待ってるわね」
「ああ、じゃあな」
「今からね」
「帰りの飛行機に乗るよ」
 笑顔で言ってだった。
 雄は実際に帰りの飛行機に乗った、そして空港から寄り道なぞせずに一年ぶりの我が家に戻ったが。
 家に帰るとだ、兄夫婦の子で姪にあたる大学生の工藤真央、小柄で丸い顔で黒髪をロングにした胸の大きい彼女がいてだった。
 何でもない調子でだ、雄は言った。
「ああ、真央ちゃん遊びに来たんだ」
「あっ、違うの」
 だが真央は笑って言った。
「私今居候なの」
「えっ、うちに?」
「そうなの、こっちの大学に合格したから」
「大学生になったのは聞いてるけれど」
「そうなったの」
「聞いてないけれど」
 雄は思わず首を傾げさせた。
「そんなことは」
「言ってなかった?」
 ここで明日香が言って来た。
「真央ちゃんがうちに来るって」
「そうだった?」
「ええ、春先にね」
「あの時忙して」
 リバプールでの仕事がだ。
「聞いても」
「忘れてたの」
「そんなことも聞いたかな」 
 首を傾げさせたまま言った。
「そういえば」
「言ったわよ」
「そうだったんだ」
「お姉ちゃんといつも一緒だから」
 夫婦の娘で母親そっくりの外見の綾も言ってきた、高校生で昔から真央に懐いてとても仲がいいのだ。
「だからね」
「それでなの」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「心配しないで」
「いやあ、綾だけじゃなくて」
 明日香は笑顔で言った。
「真央ちゃんもいてね」
「それでか」
「賑やかになって二人共家事してくれるから」
「助かってるんだな」
「実は私リウマチになって」
「それは初耳だよ」
「この前なってあなたには今はじめて言ったわ」
 リウマチのことはというのだ。
「それでね」
「大変でか」
「今は治療中でね」
「綾と真央ちゃんがいてくれてか」
「助かってるわ」
「そうなんだな」
「そういうことでね」 
 また真央が言って来た。
「叔父さん宜しくね」
「わかったよ」 
 姪の言葉に頷いた、そうして日本での家での暮らしを再開したが。
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