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ヲタクの叔父さん
第一章

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               ヲタクの叔父さん
 湯口守は所謂ヲタクである。
 漫画とアニメが好きで趣味はゲームとフィギュア作りであるが。
「えっ、そんな高値でかい」
「そうなのよ」
 彼の姉の大村尚美、長い黒髪を後ろで束ね細面で細い目と小さな唇を持つ彼女は眼鏡をかけて長方形の顔で優しい顔立ちに眼鏡をかけて黒髪を短くした夫でサラリーマンの義春に答えた。二人共背は高い方だ。
「これがね」
「フィギュア一つで」
「ええ、だからあの子お金はね」
「持ってるんだな」
「普通にお仕事もして」
 そうしつつというのだ。
「そっちでも収入あるから」
「そうなんだな」
「高校生の時から作っていて」
 フィギュアをというのだ。
「お金持ってるのよ」
「凄いな、守君は」
「それでね」 
 自宅で夫にさらに話した。
「実家を建て替えたお金も半分はね」
「守君が出したんだな」
「お父さんとお母さんに言ってね」
 そうしてというのだ。
「出したんのよ」
「親孝行もしてるんだな」
「そうよ」
 実際にというのだ。
「だからね」
「君はヲタクを馬鹿にしないんだな」
「あなたもでしょ」
「犯罪ならいいじゃないか」
 夫ははっきりと言った。
「別に」
「そうよね」
「だからだよ」 
 それでというのだ。
「僕だってね」
「守を嫌ってなかったわね」
「昔から。それに」
 夫はさらに言った。
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