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不可能男との約束
貴方は私の敵
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足を無理に引き、丁度尻の後ろくらいの位置に足を持っていかせ、右半身を捻らせる。
右の脇腹のケーブルやシリンダーが千切れていく音が断続的に聞こえるがそんなのは全部無視一択である。
問題は生き残るか、生き残らないかであり、この一撃が届くかである。
いった。
狙いは右肩に乗っている江良・房栄。
こちらの右腕に込められている力は無茶の行動な故に手加減なんぞ何一つ籠っていない。
だから、相手は防御しなければいけないし、事実そうした。
こちらの裏拳は何の技術も無しに、相手の右手によって捕まえられ、そして連撃で一重咆哮が発動しようとする。
そこで

「右腕もパージしろ!」

そうした。
音と共に右腕は外されていく。その動きが聖譜顕装で減衰されていないのに、秒刻みにされているような錯覚を得てしまう。
冷や汗をかきながら、ようやく現実が動き出したと馬鹿の事を考えている最中に目の前で地摺朱雀の右腕が割れ砕かれた。
目の前の光景が、ありえた未来だと内心で受け取りながら、腕を失った事により体重が変わった動きに付いていけずに、体勢を崩し、道征き白虎の蹴りを真正面から受けることになってしまった。










こちらの蹴りにより胴体を陥没させながら、遂にそのまま武蔵上に落ちていく地摺朱雀を見ながら、思う。

……まぁ、並の武神よりは良かったな、と。

武神使いの第六特務の判断も良かった。
特務に付いているだけのことはあるっていうのは、ちょっと上から目線みたいで嫌だけど、素直に上手いと言える実力者であった。
武神の差がなかったら、どうなっただろうと考えるくらいではあった。
しかし、意味もない仮定であったので、全部無視することにした。意味もない仮定の話など、それこそ仮定の世界でやっていればいい。
問題は、落ちていく武蔵の第六特務の顔。
その顔に張り付いている表情が笑みの形であることだ。
ただの負け惜しみかと思うが、楽観的な判断は全部捨てる。思考は全て何か意味があるものと今は考える。勿論、罠の可能性もあったが、そんな感情(イロ)には思えない。
となると本人ではなく……

「時間稼ぎだったって言うの!?」

「Jud.何もあたし一人だけで、何でも出来るだなんて自惚れは持っていないさね。なら、他の部分は他の馬鹿に任せるに限る」

苦笑と共に落ちていく第六特務を見ながら、即座に頭の中で周りの情報を取り入れる。
だが、取り入れるまでもなかった。
艦首側の方角から、武蔵の輸送艦がこちらに目がけて突進してくる光景であったからである。
ふぅーという溜息を吐くような音を聞き、意志とは関係無しに聞こえてきた方角、武蔵の第六特務が落ちて言っている姿の方を見る。
何時の間にか、彼女は懐に入れてあったのであろう煙管
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