貴方は私の敵
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しい。
打つ手なしの言葉が脳に浮かび上がるが
引けないなら、その情報は貰おうか……!
要は、最後に勝った者が勝ちという事である。
ここでの敗北を、ただの敗北にさせるのは、それこそ敗北どころか惨敗になってしまう。
壊れることくらいは許容範囲である。それくらいで、膝を着いてもう駄目だなんて思う奴は、少なくとも梅組メンバーにはいない。
そう思考し、道征き白虎の表示枠が割れた瞬間、世界が変質した。
「───」
その光景に一瞬ではあったが、直政は本気で感嘆の吐息を吐いた。
世界はさっきまでのような物騒な空間から剥がされたかのように麦穂の世界に変わっている。
余りにも、幻想的な世界。幻想と断ずるのは、それが美し過ぎるだけではなく、半透明で出来上がっていて、本物ではないという事が明かされているからである。
しかし、これは幻想的な世界ではない。
虎が大道として、駆ける為の大地だ。
瞬間、目の前の虎が吠えた。
刹那のタイミングによる肩を用いた零距離タックル。意識をそちらに向け、残った左腕によって、ガードをする。
しかし、衝撃総てを逃がす距離も暇もなかったので、後ろにたたらを踏む。ピキリという、左腕から嫌な音が聞こえてきたが、考えるといらん事を考えてしまいそうになるので、思考を削除。
そして、目の前の虎の顔が急速に近づいてくる。
虎が疾走したのだ。
元々が巨大な武神。たかが、たたらを踏んで、離れた距離など無いに等しい。僅か一歩で、追いつめられる、体勢が治っていないこっちは迎え撃つという選択肢しか存在しない。
更には、長い事触れていたら、道征き白虎の一重咆哮にやられてしまうという地摺朱雀からしたら、相性が悪いことこの上ない展開ばかりだ。
まるで、飛びかかるかのように襲ってくると思い、上体を張りつめさせたら、即座に白虎は体を小さく丸め加速。
「……何!?」
至近距離から、狙いを外して、脇を抜けられる。
自然と追いかけようとする視線の端に、道征き白虎が膝を着けている所を見て、視界を下に下げる。
すると、白虎の左足が鎌のようにこちらの両足をとろうとしているのが見えてしまい、急ぎ、一歩前進させるが間に合わない。
ギャッっと嫌な音と共に踵が抉られる。
途端に体の体勢を制御できなくなる。
倒れる、と思う時点でもう遅い。既に、背後には体勢を立て直して、獣よろしくこちらの方に今度こそ、飛びかかろうとしている道征き白虎がいる。
飛びつかれ、組む伏せられたら最後、一重咆哮による連鎖破壊によって、こっちはゲームオーバーという事になる。
なら
「裏拳ぶちかませ!」
その通りに動かした。
背後に倒れようとしている地摺朱雀は見事に言葉通りの無茶を実現してくれた。
倒れようとしている右
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