貴方は私の敵
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いう単一思考しか考えていないだろう。
だが
「そんな相手だからこそ、俺が相手だ……!」
自分が相手のエースを押し止め、その間に周りがケリを着ける。
正しく、俺の信念が発揮される場だ、と自覚して、バットを振るう。
その視界の端に、道征き白虎が武蔵の地摺朱雀に激突している姿が一瞬捉えられた。
武神同士の激突の轟音のせいで直政の聴覚は一瞬だか、間違いなく使えなくなってしまっていた。
くぅ……!
二、三秒くらいで聴覚が復帰して、聞こえてきたのはパーツが砕き散らされる音と、潤滑油が沸騰している音である。
聖譜顕装を潰されたお蔭で、この場におけるハンデは失せたが、武神の出力でのハンデが抜けていないし、あっちはこっちに駆けてきた分、その速度が威力に変化されている。
加速プラス自重だけで十分な凶器である。
それに加え、警告として現れた表示枠を見てみると
出力比五倍何て笑えない冗談だね……!
ギギッと嫌な音が地摺朱雀の内部から響いている。
圧力によって、内部の冷却チューブなどが押し潰されようとしている音だ。
接近戦は不利という判断を頭が下すが、残念ながら地摺朱雀には、内蔵武器もなければ、遠距離用の武器類も持っていない。
それに、自分が離れれば、どうなるかという事も理解しているので、離れる事も出来ない。
故に
「御免」
攻撃は地摺朱雀の肩を足場にして左腕を伝って駆ける二代に任せた。
翔翼は既に展開されており、駆ける後ろ姿は既に視界に映す事も難しい。その事に、内心で口笛を吹いてしまう。
この少女もやはり、能力的には桁違いだ。
もしも、熱田がいなければ間違いなく、この少女は武蔵の副長を任せられていたはずである。
そして、相手も当然、二人相手だと気付き、間合いから逃げようとするのだが
「ぶち当たれ! 地摺朱雀!」
させまいと朱雀を突撃させる。
狙うは、後ろに下げる時に突出させた右腕。あれを握るだけで出力が五倍の差があるとはいえ、時間を稼げる。
そう思っていたが、不審なものを見てしまい、疑問を抱く。
この状況で、相手が笑っていたのである。
そして声が
「右肩───”一重咆哮"」
声と共に白虎の右肩にダース単位の表示枠が発生し、装甲が展開される。
背部側と連結アームによって形造られた物は獣の顔。
「虎だと!」
「Tes.新大陸ではあんまりいない機獣だけど───その本質は変わっていないよ? 獣として相手を震え、恐れさせる道征き白虎の基本装備」
嫌な予感が極限まで高められたので、腕を引き戻せるか思案するが、間に合わない事を即座に決断し
「地摺朱雀! 右腕をパージしろ!」
二代ごと腕をパージさせることによって、躱した。
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