貴方は私の敵
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こいつはやべぇ……!
素直に隆包は思った。
恐らくだが、これを喰らったガリレオ副長や宗茂も同じことを思ったに違いない。
完璧に知覚から外されている。
視界には映っているのに、それを熱田・シュウであると理解できていないのである。
これならば、いっそ見えない敵とかの方がマシだ。
見えていないだけならば、視覚以外で反応すればいいことなのだからである。聴覚、嗅覚、何でもいい。視覚で見えなくても、それくらい出来る能力は持っている。
しかし、これは見えないだけではない。
これは知覚から外れているのだ。どの感覚からもずれている故に五感は全く使いようがない。
なら
勘でやるしかねーじゃねぇか……!
初撃から勘に頼らざるを得ない技なんてえげつないという言葉しか思いつかない。
つまりは、この剣神と相対する資格を得るには、この技を乗り越えてからではないと掴めないという事だ。
神と相対する資格を得るのだから、これくらいはもしかしたら当たり前なのかもしれない。
となると、何を持って己の勘を発生させるか。
既に。剣神が消えて、三、四秒たっている。
自分と剣神は、最初に相対場所から目測で、大体、三、四十メートルくらいは離れてはいたが、それだけあれば、副長クラスには十分な時間である。
既に、相手は自分を倒す必殺距離に入っていると思うと、汗がたらりと流れてくる。
霊体の体なのに、冗談のような寒気を感じてしまう。
だが、それはまだ俺が動けているという証だ……
そう思い、体の全ての感覚が鋭敏化した瞬間───耳に風切り音が聞こえた。
その刹那にか、体を動かす。
バント体勢で持っていたバットを全力で上に捧げる様に持ち上げる。
勘だ。
だが、そこに信じる理由がある。
風だ。
風は俺達野球選手にとって、救いの女神ともなるものであり、同時に最悪を作るかもしれないものだが
この場合は、俺に最悪を知らせる救いの女神になってくれた!
答えは超のレベルと言ってもいい衝撃だった。
「く……ぅ……!」
両腕が一瞬で痙攣しそうな勢いが腕を伝わって、全身に伝わるが問題はない。
これで、資格は獲れた!
だからか、視覚にはさっきまでは知覚外にいた剣神の姿がちゃんと映っていた。
その表情は、まだまだ全然足りないとでも言いたげな顔だ。
その顔を見て
「そりゃ、悪かったな……!」
故意に右腕の力だけを消す。
すると、バットは力関係から、斜めに横たわる様になり、そこに縦に斬ろうとしていた剣神は、その刃に滑る。
黒板を嫌な風に掻いた様な音が響き渡ってしまうが、構いやしねえ。
そうすると、相手の体は空中から、地面に下されていき……ほら、どんぴしゃに顔面の前にバットが置かれるような体勢になった。
そこで、右腕
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