第二章
[8]前話
ハンバーグにビーフシチュー、野菜炒めにご飯に牛乳、デザートのワインゼリーを食べてそうしてだった。
思わず唸ってだ、こう言った。
「日本人はいつもこんな美味しいものを食べているのか」
「そうだよ」
隣の席の水田が応えた。
「うちの学校半分が外国人だけれどな」
「素晴らしい、フルコースを越えている」
「本当に美味いだろ」
「うむ、最高だ」
「しかもな」
水田はデザートのゼリーを食べつつ言った。
「栄養バランスいいからな」
「肉に野菜、牛乳にとだな」
「ご飯もあってな」
「そうだな、これは最高だ」
ピエールは強い声で言い切った。
「給食は最高の食事だ」
「そうだろ、もう馬鹿にしないな」
「僕が間違っていた、これからは毎日給食を食べたい」
「学校に通ってるとな」
「そうしていく」
「じゃあ俺は甲子園は阪神の服で行くな」
「僕は三塁側にいる、全力で戦おう」
ピエールは今度は毅然として言った。
「そうしよう」
「ああ、それじゃあな」
「お互いに応援しよう」
「そういうことでな、しかしお前お金持ちでもな」
水田は彼の家のことを話した。
「カープ応援するんだな」
「それが何かあるのかい?」
「あそこは貧打線だろ」
「お金持ちならか」
「そうならないか?」
「いや、好きになったからいいんだ」
ピエールは強い声で答えた。
「カープは」
「そうなんだな」
「幸い巨人は最下位だ」
「昨日見事今シーズン三度目の十五連敗達成したな」
「それなら阪神とカープでだ」
「優勝を競うか」
「そうしよう」
野球についてはこう言った、そうしてだった。
二人で野球の応援もしていった、そしてピエールは毎日給食を楽しむ様になった。どのメニューもこれ以上はないまでに美味いと言って。
給食を馬鹿にするな 完
2024・10・17
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