激闘編
第九十八話 進攻準備
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った事に長官本人が士官学校を出ていない事に引け目を感じている。士官学校出身者は自分の言う事など聞かないだろうと思ってしまっている。更に困るのは、そういう事はない、と否定しきれない現実がある事だった。今回は仕方ないけれど、次に同盟軍が動く時には長官に出馬してもらう。そして穏やかな老後を過ごして貰うのだ…原作でビュコック長官は戦死した。同盟を護る為に死ねたのだから、本人は本望だったろう。でも俺は忘れられない、ラインハルトの放送を聞いて立ち上がったビュコック長官を見たときの、長官の奥さんの意を決した表情が。アニメでのあのシーン、奥さんの目は潤んでいた。ああいうシーンはもう真っ平だ。
「準備出来ました。で、どの様な想定で行うのですか」
シミュレーションマシンに入ったルグランジュからの問いだった。
「分かりました。そのまま待機していて下さい」
うん、どうしよう…今ここに居るのは、俺、長官、そして本部長、パン屋…本部長が訝しげな顔をしている。
「ウィンチェスター君、まさか我々にも参加しろというのではないだろうね」
…バレたか。流石は本部長というべきか…。
「お嫌ですか?」
「嫌ではないが…どうしますか、長官」
「いや、たまにはこういうのもいいじゃろう」
忘れてた、こういう時のビュコック爺さんが意外とノリがいいのは、EFSF時代に体験済みだった。パン屋と本部長が頭を抱えている、軍首脳部と現役の艦隊司令官とのシミュレーション対戦、長官の言う通り前代未聞だろう。
「どうせならギャラリーも居た方がええじゃろう。総参謀長、館内放送で観客を集めたまえ」
…え?これは予想外すぎるぞ……パン屋も諦めたのか、参集範囲はどうしますか、とか聞いて来やがる。
「手空き総員でええじゃろう」
パン屋が内線で連絡を入れると、館内放送が流れた。
”一五〇〇時、手空き総員集合せよ。場所、シミュレーション観覧室“
この統合作戦本部ビルで手の空いてる人間なんてそう多くはないけど、それでも百人は越えるだろう。それにさっき解散したばかりだから、この会議室に居た者のほとんどが集まる筈だ。放送を聞いて驚いたのだろう、先にマシンに入って居た四人の提督が飛び出してきた。
「これはどういう事ですか」
「せっかくじゃから観客を呼んだまでじゃよ。貴官等が勝てば流石は、と箔がつくじゃろうし、敗けても軍首脳部が相手なのじゃから恥にはならんじゃろう?貴官等の腕の見せ所ではないかな?」
「成程、確かにそうですな」
ルグランジュが自信ありげに笑う。四人の癖が知りたかっただけなのにとんでもない事になってしまった…待てよ、ビュコック爺さんもいい機会とでも考えたのかも知れない。おそらく敗ける事はないだろうけど…というかこれは敗けられない。思いつきでも真剣にやれという事か…?
「ルグラン
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