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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十八話 進攻準備
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すればアムリッツァを失います。それはすなわち帝国軍を阻む力が無くなるという事です』
『イゼルローン要塞があるではないか』
『私が攻略方法を示してしまいましたから、イゼルローン要塞は最早難攻不落ではありません。要塞を奪い返した帝国軍の大軍が同盟内に雪崩込むでしょう。そうなった時、それに対抗出来る戦力はもはや同盟軍には残っていない。同盟は終わりです…そういう未来もある、それを受け入れる覚悟はありますか?そうでなければ後世の歴史家は言うでしょうね、当時の同盟の為政者達は、一時の利益に目が眩んで亡国の道をたどったと』

 
 ざわめきは大きくなる一方だった。ざわめきの中、第二艦隊司令官のアル・サレム提督が質問の手を挙げた。
「副司令長官、この進攻路だと、フェザーンが文句をつけて来るのではないですか?ハーンはあまりにもフェザーンに近いと思うのですが」
「その通りです。ですが昨年の戦いではハーン宙域から帝国のクライスト艦隊が現れました。我々もそれに倣います。フェザーンを気にする事はありません、フェザーンの意向などどうでもよい事です。それともサレム提督には何かフェザーンの意向について気になさる理由がお有りですか」
「いえ…ありません」
ヤマトの奴…意地の悪い言い方をするな。フェザーンの意向などどうでもいい…だがフェザーンが黙っているだろうか?いや、何を言って来るかは織り込み済みなのだろう、でなければああもキッパリと言い切る事は出来ない。
「い、いえ、フェザーンの意向については特に気にする事はありませんが、ハーン回りでは帝国中枢部まで遠くありませんか?移動に時間がかかればかかる程、帝国軍に対処する時間を与えてしまうのでは…と愚考しますが?」
言葉を続けるサレム提督の疑問は尤もな話だった。
「尤もなご意見です。ですがこの作戦では、それは無視してもよいのです。提督、失礼ですが、先程まで表示されていた原案にあった作戦目的…思い出せますか?」
「ボーデン、フォルゲンの後背地化…でしょうか?」
「いえ、もう一つの目的です」
「まさか…」
「はい、その通りです。この作戦の目的は『敵の心胆を寒からしめる』事にあります。ハーン方面からの進攻は言わば敵の柔らかい脇腹を突くに等しい。確かに帝国首都星オーディンには遠い。ですがハーンを抜けシャッヘン、アルメントフーベル、キフォイザーとたどって行けば…皆さんもご存知の帝国の大貴族、ブラウンシュヴァイクの領地です。如何です?たとえブラウンシュヴァイクに向かわなくともシャッヘン、エックハルト、アイゼンヘルツと進めば帝国とフェザーンの流通を遮断して経済的に帝国を締め上げる事が出来ます」
「なるほど。確かに帝国は肝を冷やすでしょうな」
「はい。ハーン進攻にはそれだけの価値があるのです。確かに帝国軍には対処する時間を与えて
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