激闘編
第九十八話 進攻準備
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ヒル本部長が会議の開催を告げる。
「この会議は帝国領への再出兵に関する作戦会議である。本職は作戦の詳細に関わる立場ではない。ここでの発言が諸君の評価に影響を及ぼすものでない事を先に言っておく。私はあくまで進行役だ、始めたまえ」
そう言って本部長はヤマトの方を見た。
「はい……ここに集まっている諸官もご存知の通り、帝国領領に再出兵を行う事になりました」
室内が軽くざわめく。政府発表はあったものの、作戦の詳細はまだ誰も知らない。ヤマトの部下である俺やマイクだって知らないのだ。
「…再出兵案は最高幕僚会議にて可決されました。その作戦案はこれです」
ヤマトの発言が続く中、スクリーンにその原案とやらが映し出された…ヴィーレンシュタインまで進出、フォルゲンとボーデンの両宙域の各星系を占領、長期的には後背地とする…いや、これは無理だろう、アムリッツァを何とかするだけで精一杯だったのに…。
「この作戦を実施した場合、同盟軍だけではなく、同盟そのものが傾く可能性があります。それほどこの作戦案は補給の維持に負担がかかるのです」
続いて表示されたのは…イゼルローン要塞攻略戦時の資料…アムリッツァまで進出し、それ以上は進軍しないというその根拠となる資料だった。ヤマトがガス抜きの為に提案した作戦だ。再び室内がざわつく。
「…当時の状況と現在、それほど状況は変わりません。それほどまでに占領統治というのは難しい。アムリッツァを得た事で同盟は国内の再開発が進み経済的には活況にありますが、この作戦がそれを阻害します。それでは軍は悪者だ」
室内に笑いが広がる。作戦の成功の意味するところは、補給線、占領地の維持の為に同盟国内の富が占領地に流出する事を意味している。占領地が拡がれば拡がる程、同盟は貧しくなるのだ。アムリッツァで停止してそこに腰を据えたからこそ、現在の同盟の状況がある。
「…軍の方針はアムリッツァでの長期持久ですから、軍首脳部はこの作戦に反対でした。現在もそれは変わりません。ですが再出兵は可決、発表され、今更中止する訳にもいかない。そこで、作戦案の修正を政府に申し出たのです」
スクリーンに表示されていた資料が消え、新たな作戦案が表し出された……これは…ハーンだと?一旦鎮まっていた室内のざわめきが大きくなっていく。
『…やってみなくてはわからない?では議長にお尋ねしますが、再出兵が失敗した時、議長はどうなさるおつもりですか』
『…辞任するしかないだろうな』
『それで済むとお思いなのですか?全くおめでたいですね』
『何だって?失礼だろう!』
『おめでたいじゃないですか、辞任で事が収められると思っているのですから。再出兵の失敗は亡国への第一歩だとお分かりになりませんか』
『亡国だって?大袈裟だろう』
『大袈裟でも何でもありません、再出兵が失敗
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