■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第三十四話 スカルリーパー偵察戦
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シリカがついに振り回していた剣の動きを止めた。クーリングタイムの消費が技の発動に追いつかず、技を繋げなくなったのだ。身体が一気に重くなり、シリカは一歩も動けなくなった。
銅像のように立ち尽くすシリカの頬に一滴の涙がこぼれ落ちた。
この扉の向こうで、おそらく自分自身ではなくシリカのために戦っているであろうマルバに対して、何もしてあげられない無力感が凝固したかのような涙だった。
ピナが肩にとまり、シリカの涙を舐めとった。頭をシリカの頬に押し付け、懸命に主人を慰めようとしている。その優しさに耐えられなくなり、シリカの頬に更にたくさんの涙が流れでた。こらえようとしても、次々と流れる涙は止められない。
シリカはしゃくりあげながら、ディレイに囚われた態勢のまま、地面に崩れ落ちた。
今はただ、祈ることしかできない。
でももし、祈ることで何かが変わるのなら……あたしはいくらでも祈るから。だから、神様……マルバさんを、助けてあげてください。一生のお願いです。
神はシリカの願いを聞き入れたのだろうか。
扉が開く。しかし、その奥には、ただ暗黒が広がるのみ。
シリカは扉の中に思わず一歩踏み出した。マルバの姿は見えない。シリカは更に部屋の中に踏み込み、あたりを見回した。
……だれもいない。ボスもいなければ、プレイヤーの姿もない。
シリカは愕然とし、呆然とし、次に無言で剣を抜いた。
そう。マルバさんがこの世からいなくなったのなら、あたしもマルバさんと同じように、この世から消えるのみ。マルバさんを殺した敵に、一矢報いてから死のう。
シリカの背後で、大扉が音を立てて閉まり始めた。扉から差し込む光の帯がどんどん細くなっていく。
その時だった。光の帯の中で……何者かが空中から滲み出ると、シリカに体当たりをかました。
シリカと闖入者はもつれ合いながら扉の外に飛び出る。闖入者が完全にシリカに覆いかぶさっている状態だ。
シリカは驚いて彼を見つめた。彼は優しそうにその視線を受け止めた。
「シリカ……生きてる。生きてるよね。生きてるんだよね……」
「マルバさん……あたし、マルバさんが死んじゃったかと……っ」
「君を残して死ねるものか。僕の命は君のものだ。君を殺したりなんて、絶対にさせない」
二人はいつの間にか涙を流していた。それは喜びの涙なのだろうか、それとも安堵の涙なのだろうか。涙を流しながら、二人は笑っていた。
マルバはシリカの肩に手を回すと、彼女の耳元で囁いた。
「シリカ……もう、僕はこんな目に遭うのはいやだ。ずっと一緒にいよう。これから先、ずっと、一生」
「マルバさん、それは……」
「うん、プロポーズだよ。……シリカさん。僕と、結婚して下さい」
「マルバさんっ……! っ、喜ん
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