■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第三十四話 スカルリーパー偵察戦
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
に、茅場晶彦に。そう、これが最後の……抵抗だ。
さあ、始めよう。
マルバが武器を構えた時、誰かの声が聞こえた気がした。
シリカは目にも留まらぬ早業で《解錠》スキルを発動させた。
ピッキング成功確率ゲージが表示され、シリカの操作と共にそれが変動する。しかし……シリカの目前のページは、何度操作をしてもゼロに戻ってしまう。つまり、この扉はピッキング不可なのだ。
開け! 開け! 心の中で何度も唱えながら、彼女は高価なピッキング補助アイテムをいくつも使って解錠を試みる。しかし、ゼロには何を掛けてもゼロ。成功確率にボーナスを与える補助アイテムの効果は加算ではなく乗算なのだ。いくら使っても意味はない。
ついにシリカはウィンドウを閉じた。落とした短剣を拾い上げ、中段に構える。左手は腰だめに。両手が光を放ち、扉に向かって繰り出す技は……『百花繚乱』。
「う……うあああああああアアアアアァァッ!!!」
シリカの叫び声がこだまし、それに呼応するかのように色とりどりのスキルエフェクトがあたりを彩った。
黄緑色の輝きの後に紫色の輝きが散り、鶯色の光の直後に紫の光が輝き、純白の煌めきに紫色の光が続く。
……言うまでもない、紫色の光は【IMMOTAL OBJECT】の表示である。
シリカはそんなことは気にもとめないようにその剣を振るい続けた。攻撃し続ければ忌々しい紫の表示が消えるとでもいうかのように。狂ったように振り回される短剣はその勢いがとどまるところを知らない。その刃が欠けても、彼女は動きを止めなかった。
「マルバさんがここで死んだら、あたしも後を追います!! 先に逝くなんて、絶対に許さないッ!!」
その叫びは、分厚い扉の向こうに届いたのだろうか。
マルバは、ふっと頬を緩ませた。
「そうだね、シリカ。僕だってそうするもん。この生命は、僕だけのものじゃない。君のものでもあるんだ。だったら、僕がやることは唯一つ。……どんな手を使ってでも、何を犠牲にしてでも、どんなに無様に逃げ惑っても、ここから生きて帰ってみせる」
ボスがマルバの方を向いた。マルバはシステムメニューを開くと、決して押すことはないと思っていた三番目のクイックチェンジのボタンを押し込む。
すると、マルバの装備が一新された。右手に持つのは、曲刀。左手に持つのは、苦無。纏うのは、漆黒の衣。両手の剣からは何故か黒い残像のようなものが見て取れる。
身体を真っ黒の装備に切り替えたマルバは、ボスの視線を正面から受け止めた。
「僕は、独りじゃない。僕は……僕たちは、絶対に生き残ってみせる」
ボスが凄まじい速さで這ってくるのに対し、マルバも全力で駆け出した。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ