■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第三十四話 スカルリーパー偵察戦
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カサッ。
マルバの《聞き耳》スキルが微かな音を捉えた。思わず上を見上げたマルバはすぐに叫び声を上げる。
「上だ!! 来るぞ!!」
プレイヤーたちは一斉に上空を見つめ、凍りついた。
あれは……百足だ。たくさんの脚が生えているところは現実世界の百足そのものである。しかし、現実の百足とは決定的に異なるところが二点。一つ目は、その身体が骨でできているところ。二つ目は、カマキリの鎌のようなものを持っているところだ。その鎌だが、まるで鋼鉄製であるかのように鋭く輝いている。
百足が天井を蹴って落ちてきた。プレイヤーたちはすぐに散らばって攻撃を受け止めようとする。
「おい、扉はまだ開かないのか!」
「まだだ、しばらくはボスの攻撃を避け続けろ!!」
「んな無茶な!?」
叫び合っていたプレイヤーたちが最初にターゲッティングされた。その二人に向かって鎌が凄まじい勢いで振り下ろされる。一人目は回避したが、二人目はそれを防御した。
防御した、はずだった。
防御のために構えた両手剣は最初に放たれた鎌によって真っ二つにへし折られ、彼もまた同様にもう一つの鎌によって真っ二つに引き裂かれた。
一瞬でそのHPゲージが消滅し、驚愕の表情をその顔に貼りつけたまま……彼は、砕けて消えた。
一瞬でその部屋全体が阿鼻叫喚の巷と化した。
半乱狂になって消えた出口のあたりを拳で叩く男は横薙ぎの鎌でHPをゼロにして散った。
回避の指示を出していたリーダーは振り払われた尾によって刈られた。
茫然自失となっていた男は、ボスがそばを通り抜けた時にその脚で蹴り飛ばされて砕けた。
そんな中、マルバは死を覚悟した。
もしかしたらこのゲームの中で迎えるかもしれないと思っていた死だ。覚悟を決めるのは意外と早かった。指を振り、メッセージ画面を呼び出す。シリカに最期の一言を伝えようとしてホロキーボードに手をかざし、……途中でやめた。ここはダンジョンの中、メッセージを送ることはできない。
代わりに、マルバは目を瞑った。脳裏にシリカの姿がよみがえる。シリカを『迷いの森』で見つけた時のこと、戦闘を教えてあげたこと、一緒に戦ったこと、ギルドの作戦を立てている時のこと、キッチンに並んで立ったこと……。
思い出せばきりがなかった。いつまでも思い出していたかった。
でも……マルバは目を開ける。ちょうど、ボスがもう一人刈り飛ばしたところが目に入った。
僕はこの世界で死ぬのなら、最後の一瞬まで目を開けていようって決めていたんだ。命を最後の一瞬まで燃やし尽くせ、自分が生きた証をこの世界に刻み込め。僕はどうせここで死ぬのだ。それなら……最後の一瞬まで足掻いてやろうじゃないか。僕を殺そうとするこのモンスターに、この世界そのもの
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