第三十八話 狭い道を歩いてその六
[8]前話 [2]次話
「思わなかったよ」
「そうだったの」
「俺から見れば真面目で」
そうであってというのだ。
「いつもしっかりしている」
「そんな風に見えるのね」
「うん、芯が通っていてね」
「本当にだらしないから」
夜空は善哉を食べつつ話した。
「実際の私は」
「そうなんだね、そう言われるとね」
佐京は夜空の話を受けて言った。
「俺もだよ」
「いい加減なの」
「そうだよ」
こう言うのだった。
「実はね」
「そうは見えないけれど」
今度は夜空がこう言うのだった。
「ちょっとね」
「そう見えるかな」
「忍者で」
そうであってというのだ。
「動きは素早いし頭の回転も早くて」
「だからなんだ」
「もっと言うと器用で成績もいいから」
学校のというのだ。
「だからね」
「しっかりしている様に見えるんだ」
「ええ」
そうだというのだ。
「本当にね」
「けれどそれがね」
「違うのね」
「そうなんだ。実はね」
夜空に微笑んで話した。
「白華も俺はしっかりしているって言うけれど」
「違ってて」
「失敗も多いし」
そうであってというのだ。
「いい加減なんだよ」
「そうなのね」
「手抜きもよくないと思ってても」
それでもというのだ。
「ついついね」
「してしまうの」
「そうだしね」
「何かお互いね」
夜空は佐京の話を聞いて言った。
「それなら」
「そうだね、それを言うとね」
佐京も確かにと返した。
「お互いね」
「いい加減だね」
「そうよね」
「若しかして」
佐京は微笑んで夜空に話した。
「人って誰でもね」
「いい加減かしら」
「そうかも知れないね」
「それじゃあ」
「それじゃあ?」
「織田作さんのカップルみたいね」
「いや、俺浮気しないよ」
柳吉と違ってとだ、佐京は否定した。
「そんなことは」
「そこは違うわね」
「お金の無駄遣いも」
そちらもというのだ。
「しないし」
「柳吉さんとは違うわね」
「そうだと思うよ」
「ええ、それはね」
夜空もそれはと返した。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ