暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#10
[10/10]
[8]
前話
[9]
前
最初
[2]
次話
レド様の背後へと滑り込んだ私は、太刀に変えた【聖剣】で、振り下ろされた両手剣を薙ぎ払った。黒い両手剣が半ばから折れる。
今度はその首を落とすべく手首を返したが────敵は地を蹴って後方へと跳び、私から距離を取った。
私は【
武装化
(
アーマメント
)
】を解除して、元の姿に戻る。
【共有魔力】に切り替えて全快したはずの魔力が、すでに半分近くまで減っている。
ラムルが【回帰】を行使して戦い続けていることもあり、レド様の魔力も残り少ない。
レド様の魔力がなくなれば、ラムルが固有能力を行使できなくなるだけでなく、セレナさんも魔術を発動できなくなる。レド様自身も、身体能力を強化できなくなって、戦力が大幅に落ちてしまう。
私が、魔力を使い尽くしてしまうわけにはいかない。
【
聖騎士
(
グローリアス・ナイト
)
】の装備を使わずに、魔獣とあの個体を討伐するしかない。
私は【
心
(
インサイ
)
眼
(
ト・アイズ
)
】を発動させて────剣を折った私を睨みつけている、そのオーガを視る。
意外なことに、魔獣化はしていなかった。内包する魔力量は多いが、変異種にとどまっているようだ。
ただ────顔や胸、両腕や両腿を覆う毛と、剥き出しの硬そうな皮膚が、黒ずんでいるのが気になる。毛にも皮膚にも大量の魔力が視えるから、そのせいだとは思うけど────何だか異様に感じた。
それに────あの変異オーガは、魔力を循環させている。先程討伐した変異オーガとは違い、起点は見当たらない。おそらく、自分で魔力を動かしているのだろう。
変異オーガは私を睥睨しながら、おもむろに、折れた両手剣の刃を握った。
魔力で強化された皮膚といえど、【霊剣】なら傷をつけることはできるようで────人間のそれより赤黒い魔物の血が、開いた傷口から滴り落ちた。
極寒の地で外気に触れた水が瞬時に凍り付くように、血が瞬く間に流れ落ちた状態で固まる。
固定魔法【凝固】、会得しました────
ノルンのアナウンスが響く。
あれが固定魔法ということは────私が予想していた通り、あの黒いオーガはエルフの記憶と経験を持っているのか。
黒いオーガは、固めた血を折れた両手剣の断面に繋げると、魔力を注ぎ込んだ。血と両手剣に魔力が満遍なく行き渡ったとき、血と両手剣の境目が溶け合い、まるで初めから一つであったかのように一体化した。
固定魔法【組成】、会得しました────
【霊剣】を創っただけでなく────変異種を生み出したのも、【
転移港
(
ポータル
)
】に集落を形成したのも、このスタンピードを計画したのも、おそらく、あの魔獣じゃない。この────黒いオーガだ。
[8]
前話
[9]
前
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ