暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#10
[6/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の特異さを身を以て体験したばかりだ。それが1本や2本ならまだしも、立ちはだかるすべての魔物が手にしている。

 【(インサイ)(ト・アイズ)】によれば────あれらは、やはり【霊剣】らしい。素体が棍棒ではなくて、人間から奪い取った装備であるというだけだ。

 だけど────何故、出て来たのがこのタイミングなのだろう。

 こんな風に小出しにするのではなく、変異種と併せて一遍に出せば、容易に殲滅できただろうに。

 変異種の戦いに手を出さないという、魔物の習性のせい?それとも、何か理由があって、別々に出て来るしかなかった…?

 何気なく、そこまで考えて────思い当たる。

 黒い【霊剣】を創るのに欠かせない素材は────魔物の魂魄だ。それは、この戦場に満ち溢れているはずで、【霊剣】を創るのに事欠かない。

 現に、私の【夜天七星】やレド様の【マーニ・シールズ】も、周囲に漂っていたと思しき魔物の魂魄を取り込んで、新たな【霊剣】となっている。

 魔獣の棍棒も、変異種の棍棒も、立ちはだかる魔物たちの装備も────温存されていた切り札なんかじゃない。それなら、もっと早くに投入していただろう。おそらくは、この戦場で創られたもの。

 先程までレド様たちと相手取っていたあの魔獣────あの魔獣はどうして、変異種よりも、この魔物たちよりも、先に出て来たのか─────

 ふと過った言葉が、口から零れ落ちる。

「時間稼ぎ…?」

 魔獣が私たちを押さえている間に、【霊剣】を増やすため────?

 もし、そうなら────【霊剣】を創ったものは、あの魔獣ではなく、他にいるということになる。

 そこに倒れる変異種の棍棒も、私たちが魔獣に足止めされているうちに創られたものだとしたら────固定魔法らしきものを施したのも、あの魔獣ではなく、【霊剣】を創ったものである可能性が高い。

 それは────前世の記憶と経験を持つ個体が、あの魔獣の他に、もう1頭いるということ─────

「!!」

 私は、急いで【立体図(ステレオグラム)】を思い浮かべ、【(グラ)(スプ)】の情報を重ね合わせる。

 スタンピード前方の2頭だけじゃない、ヴァイスが護る私たちの拠点にも2頭────それから、魔獣から少し離れたところに3頭、変異種が存在している。3頭の変異種と戦っているのは───ラムルだ。

「…っ」

 レド様は────たった一人で魔獣と対峙している。

 私たちは魔獣たちの思惑に嵌り────おびき寄せられ、引き離されたということだ。


 ふと違和感が走った。

 ここに2頭の変異オーガの死体がある。これではオーガの変異種は全部で9頭いたことになる。

 私の【|地図製
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ