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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#10
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切断されたオークが、崩れ落ちる。

 命を失ったオークたちが地面に倒れ込む直前、強風が吹き抜け───オークの死体を吹き飛ばした。前方がぽっかりと開き、2頭の変異オーガが見える。


 その強風を起こしたジグに目線を遣る。魔獣が放った土砂を吹き飛ばしてくれたときといい────明らかに、ジグの魔法の精度と威力が上がっている。魔術もだ。

 それに、先程は【身体強化(フィジカル・ブースト)】を発動させたまま【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を発動させていた。
 以前はできなかった魔術の同時発動をしている。

 この戦いから────いえ、おそらく地下遺跡での戦いの後からだ。

 考えられるとしたら、ジグの前世の記憶が関わっているのではないかということだけれど────今は追及している場合じゃない。この件が落ち着いてから、レナスの前世と合わせて確認しよう。


 私はそんなことを考えながら────前方に視線を戻して、ジグと共にオークの群れを奔り抜ける。

 騎士と貴族の私兵たちは、変異オーガ2頭を取り囲んでいるようで────変異オーガの手前に、こちらに背を向ける騎馬隊が列を成し───その左右に、鎧を纏った騎士あるいは私兵たちが群れ成している。

 大分近づいたとき────突然、2列に並んでいた騎馬隊とその左側で横一列に並んでいた部隊が、さっと左右に退いた。

 開いた中央部分には、逃げ遅れた幾人かのクロスボウを抱えた兵士が取り残される。そのうちの一人が足をもつれさせて尻餅をつき────その兵士目掛けて、変異オーガが黒い棍棒を振り被るのが目に入った。

「まずい…!」

 【身体強化(フィジカル・ブースト)】はすでに発動しているため、加速する余地はなく────とにかく奔るしかない。

 【身体強化(フィジカル・ブースト)】の魔術式が足元に展開した状態だったが、解除することなく、立ち尽くすクロスボウを抱えた兵士の間を駆け抜け────私は、間一髪、振り下ろされた棍棒を対の小太刀で受け止めた。

「…?」

 押し負けるほどではないが────変異種にしては、一撃がやけに重い。

 それに変異オーガの魔力の動きに妙なものを感じた私は、【(インサイ)(ト・アイズ)】を発動させた。

「!」

 変異オーガの魔力が、絶えず身体を巡回している。

 これは────私の【魔力循環】と同じだ。変異種の大量の魔力を巡回させることによって、大幅に身体能力が強化されているのだろう。

 じっと視続けると、魔力が流れる起点となっているらしき個所がある。それは固定魔法に似ていた。もっと言えば、発生させた霧に魔素を織り交ぜて、巡回させ続ける固定魔法───【迷走】に似ている。

 おそらく、この変異オーガが
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