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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#10
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、心置きなく」
「ラムル…」

 レド様に続いて、ラムルがそう言ってくれる。

「もう迷っている時間はないようですよ、リゼラ様」

 ジグの言葉に、はっとして前方に視線を向けると────棍棒を構えた魔獣が、こちらに踏み出すところが目に入った。

 ジグの言う通り、もう迷っている場合ではない。迷っていては────何も成せない。

 私は心を決めて────レド様に視線を戻す。

「私は────騎士・貴族連合軍の援護に向かいます」

 そして、あの2頭の変異種を討伐して、即座に戻る────レド様の許へ。

「ああ、頼んだ」

 レド様は私に頷いて────大剣を構える。ラムルが、まずは右手の短剣を、続いて左手の短剣を投擲する。

 初めに投げたラムルの短剣が魔獣の【結界】を崩した直後に、ジグが両手の短剣、それから【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を立て続けに放つ。

 私は【聖剣】を対の小太刀に替えつつ、【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を発動させて────奔り出す。

「ジグ───共に行け!リゼを護れ!」
「御意!」

 背後で、レド様とジグのそんな遣り取りが聴こえる。

 正直、ジグにはレド様についていて欲しいけど、今はそれについて押し問答している暇はない。それなら、ジグを連れて、とっとと2頭の変異種を討伐して戻って来る方が建設的だ。

 追いついたジグを従え、左方向に軌道をずらして───魔獣の右脇を駆け抜ける。魔獣は、すれ違う際こちらに目を遣ったが、一拍遅れて駆け込んで来たレド様に意識を引かれたらしく、私たちから視線は逸れた。

 前方を見上げれば、背を向けて佇むオークの群れの向こうに、変異オーガ2頭の姿が小さく見えた。

 そんなに長く話し込んではいなかったはずだが────変異オーガたちは、すでに騎士・貴族連合の陣地に入り込んでしまっているようだ。

「速度を上げる」
「御意」

 ジグに告げて、【身体強化(フィジカル・ブースト)】を発動させる。

 すぐにジグも【身体強化(フィジカル・ブースト)】を発動させて速度を上げ、並走する。

 私とジグはオークの群れに、それぞれ最大規模の【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を放って────各々の得物を手に突っ込んだ。


◇◇◇


 左方向から繰り出されたオークの両手剣の刃を左手の小太刀で砕き、右方向から突き出されたオークの槍の穂先を右手の小太刀で斬り落とす。

 足は止めない。

 オークすべての相手をする時間が惜しく、間合いに入った武具あるいはオークだけを返り討ちにする。

 私たちの進行を阻止するべくオークが行く手を塞いだので、私は再び最大規模の【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を放った。両腕ごと胸を
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