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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第223話:燻る叛意
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不当な査察目的で占拠されていた本部は、輝彦の活躍により完全に奪還された。日本政府から送られてきた人員の全員を、揃って発令所に集めていた事が幸いしたのだ。一部の人間は艦内のあちこちに居たが、それも弦十郎が携えてきた正式な書類を元に黙らせる事が出来ていた。
そして戦いが終わり、弦十郎等この艦の本来の持ち主が本部を取り戻すべく発令所に続く扉を開ける。この扉は輝彦により開かないように封印されていたが、それも今は解かれており扉は本来の主達を快く出迎えた。
耳慣れた音を立てて開かれた扉。その向こうに広がる光景は、弦十郎も思わず言葉を失う程の有様であった。
「う、うぉぅ……」
査察官を始め、日本政府の赤い制服に袖を通した男女が見るも無残に口から泡を吹き鼻水や涙で顔をぐしゃぐしゃにした状態で気を失っている。予め輝彦から何をしたかは聞いていたが、実際にこの光景を目にすると流石にあれ程傍若無人な行いをした連中と言えど同情をせずにはいられない。
「く、クサッ!?」
「うぅ……!?」
だがその同情も直ぐに感じる余裕は無くなった。輝彦が用いた悪臭の魔法の残り香が外まで漂い始めたのだ。部屋に入ろうとしていた朔也とあおいは、鼻が曲がる程の臭いに慌てて廊下に戻り発令所への扉から離れる。
データ処理と指揮の為にはここに入らなければならない訳だが、その前にこの気絶した連中をここから運び出さなければならない。しかしこうも悪臭が立ち込めていては、その作業も難しいだろう。
とりあえず取り急ぎまずは発令所を始めとした艦内の喚起から始めるべきか。弦十郎も鼻を押さえながらそんな事を考えていると、遅れてやって来た輝彦が同じように鼻を押さえながら現れた。
「あぁ、スマンスマン。まだ臭いが残ってたか。直ぐ何とかするからちょっと待ってろ」
〈クリーン、ナーウ〉
輝彦が魔法を使うと、魔法陣が周囲を優しく照らす。するとそれまで視覚的にも淀んで見えた空気が澄んで悪臭のしない、それどころかすがすがしい空気が辺りに漂い始めた。ひどい悪臭から解放され、朔也達も安堵し大きく深呼吸をする。
「ふはぁ〜、助かった。あのままだったらどうしようかと……」
「スマンな。あの大人数を一度に死なない程度に無力化しようと思ったら、ああするのが一番手っ取り早かったのでな」
「あぁ、いや。別に責めるつもりは……」
この惨状を生み出した張本人とは言え、本部奪還に一役買ってくれた相手に文句を言う事は出来ないので朔也は慌てて前言を撤回しようとする。だが直後に輝彦の口から出た言葉に、彼は納得と呆れを感じずにはいられなかった。
「とは言えまぁ、あの連中が慌てふためく様はなかなかに見ものではあったかな」
ちょっぴり面白そうに呟く輝彦の姿に、朔也は颯人と
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