暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第223話:燻る叛意
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は徐々にだが記憶を取り戻しつつあるという話だ。まだ世界の分解とかそう言う危険な所までは思い出していないようだが、錬金術と言う存在そのものへの知識が緩やかにだが蘇りつつあるらしい。
 今はまだいいが、このまま中途半端に記憶が再生したら、勢いに任せてハンスの元へと飛んでいってしまうのではと考える時が気ではなかった。一応そんな事にならない様にと、アリスが目を光らせてくれてはいるが。

「そもそも、奴らは今どこにいるのか…………」

 輝彦の小さな呟きは、誰の耳に入る事も無く虚空へと消えていくのだった。




***




 颯人達が今後の対応で迷っていた頃、ジェネシスとヴァネッサ達がアジトとしているチフォージュ・シャトーではちょっとしたトラブルが起こっていた。

「これはどういう事ッ!」

 そう声を荒げるのは、褐色肌に黒髪が映えるヴァネッサであった。彼女はエルザを後ろに庇う様にしつつ、ベルゼバブの傍に控えているミラアルクの事を見ながら険しい顔で問い詰めた。

「ミラアルクちゃんに何て事を……! 今すぐ元に戻してッ!」

 ベルゼバブと共にミラアルクが戻ってきたくれたのを見た時は、ヴァネッサとエルザも素直に彼女の帰還を喜んだ。だがどこか心此処に在らずといったミラアルクの様子と、明らかにベルゼバブに付き従う姿から直ぐに彼女が普通の状態ではないと気付き事の真相をベルゼバブに問い質そうとした。それに対してベルゼバブは、鬱陶しいと言いたげに鼻を鳴らしながら答えた。

「お前達木端な役立たず錬金術師を、私が有効活用してあげたんですよ。お陰で少なくとも、神の力の依り代となり得る少女は手に入れる事が出来た」

 未来を手に入れることは神の力を制御する上で必要不可欠。だからこの結果自体はヴァネッサ達にとっても喜ばしい結果ではあるのだが、しかしその代償がミラアルクの心の自由となると話は別である。例え人間に戻れたとしても、魔法使い達の奴隷となってしまうのであれば意味は無い。

「お、お願いであります! ミラアルクを、ミラアルクを返して欲しいでありますッ!」

 ヴァネッサの後ろに隠されていたエルザも必死に懇願する。彼女はヴァネッサと違い、自分達では下手に突っかかっても彼ら相手に勝ち目などないと分かりきっている為あまり強く主張する事は出来なかった。だがそれでも、大切な家族であるミラアルクがこのまま彼らの傀儡となってしまうのだけはどうしても避けたかった。

 2人からの懇願を、しかしベルゼバブは勿論メデューサ達も聞き入れるつもりは無く一蹴する。

「悪いが、コイツはなかなかに利用価値がある。連中は甘ちゃんの集まりなのでね。コイツをダシにすれば、奴らは大人しくなってくれる」
「安心しなさい、事が成った暁にはちゃんと
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