暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第223話:燻る叛意
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れがどうしたってんだよ?」
「私も概要を知ってる程度だけれど、神獣鏡は浄化の力を持つと言われてた。その浄化の力で、ガングニールとダイレクトフィードバックシステムを除去したのも分かるわ。でも、あの光の力がそれ以上だとしたら……!」

 限られた情報から真相へと辿り着いたマリアに、壁際で話を聞いていた輝彦は内心で舌を巻く。彼女の洞察力に、輝彦だけでなく弦十郎も感心した様子で頷きながら結論を口にした。

「概ね、マリア君の予想通りだ。そう、神獣鏡の浄化により響君は現在を浄化され、それにより神の力をその身に宿す事が出来た。つまり……」
「! 未来さんも、響さんと同じように神の力の依り代となれる……!」
「じゃあ、連中の狙いは……!?」

 透も真相に辿り着き、それにつられてクリスも敵の狙いに気付いた。ここまでくると颯人達だけでなく、比較的難しい話が苦手な切歌や調も何故未来が攫われたのかに察しがついてしまっていた。

 そう、敵の狙いは未来を依り代にして奪った聖骸の力を利用しようとしている。このままだと未来の身が危険に晒されてしまうと気付き、響の中に焦りが生まれた。
 だが取り乱しそうになるのを寸でのところで抑えられたのは、未来と一緒に奏が連れ去られたからであった。

――颯人さんだって、本当は今すぐにでも飛び出して奏さんの所に行きたいはずなのに落ち着いてる。なら私も、今は……!――

 見れば颯人は頻りに左手の薬指の所を擦っている。そこにあるのは、奏とお揃いのデザインのシンプルな指輪。まだ挙式を上げることはしていないが、将来を誓い合った2人だけが身に着けている婚約指輪だった。
 それを何処か落ち着かない様子で触っているという事は、彼だって気が気ではないのだろう。だが彼は逸る気持ちを抑えて、奏を助け出せる時を待ち続けている。将来を誓い合っている相手を連れ去られた彼の不安と焦りはいかばかりだろう。そう思うと、響も冷静さを保つ事が出来ていた。冷静さを保ちながら、しかし心には未来の救出を熱く固く誓う。

 そこで徐に颯人が、思い出したようにキャロルの事を口にした。

「そういや、キャロルはどうした? ハンス取り戻そうとして飛び出していったんだろ?」

 そう訊ねながら颯人が輝彦を見れば、響達の視線も彼の方へと向かう。結局あの後、アリスは翼の救援に向かってしまったし颯人も奏と合流していたからキャロルがどうなったのかは知らない。だが輝彦の落ち着き具合を見れば、大体どうなったかは察する事が出来た。

「何とか大人しくさせたよ。何せ、行き先なんてあってないような物だからな。闇雲に駆けずり回っても見つかる訳がないと言えば、渋々とだが大人しくしてくれたよ」

 とは言え、あれは油断できないと輝彦は警戒していた。アリスの話で、キャロル
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