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神々の塔
第八十五話 第六天魔王その三

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「次頑張れってな」
「言う人やったね」
「ちゃんと人の話も聞いたし」
 専制的なイメージがあってもというのだ。
「優しい人やったわ」
「そうした人やったね」
「その実はな」
「そこがちゃうね」
「残酷と言われても」
 このこともというのだ。
「当時としては普通で」
「悪人には容赦せんでも」
「人を無闇に殺す人やなかった」
「ぎりぎりまで降伏せよって言う人やったし」
「穏健やったんや」
 苛烈ではなくというのだ。
「そやったわ」
「何ていうかね」
 アレンカールも信長について話した。
「第六天魔王なんてね」
「イメージでしかないね」
「人の髑髏でお酒飲んだったいうけど」
 黄金色に細工をしてまでだ。
「そのこともね」
「ちゃうみたいやし」
「あの人お酒駄目だったのよね」
「うちと正反対で」 
 綾乃はここで自分のことも話した。
「お酒はめっちゃ弱かってん」
「それでほぼ飲まなくて」
「甘いもんが好きやってん」
「甘党ね」
「大酒飲みのイメージがあっても」
 その実はというのだ。
「飲めへんかってん」
「そこもイメージとちゃうわね」
「そやから茶道が好きやってん」
 こちらがというのだ。
「お酒全然あかんで」
「そうよね」
「それに人の髑髏で飲んだんやなくて」 
 そうせずというのだ。
「供養でやったらしいし」
「供養は宗教やし」
「信仰心もあって」
「敵にも配慮してたのね」
「ちゃんと」
「悪い人やないわね」
 アレンカールも思うことだった。
「特に」
「うちもそう思うわ」
「むしろ毛利元就さんの方が」
「悪いね」
 綾乃も否定しなかった。
「助けるって言うた敵城の兵の人皆殺しにしたり」
「信長さんは助けてたし」
「色々謀略使って」
「暗殺とかもしてたわね」
「何かと」
「あの人は凄いわ」 
 シェリルも思うことだった。
「ほんまに」
「そやね」
「奸悪無限と言われただけあって」
「領地では善政やったけど」
 民のことはしっかりと考えていたのだ。
「ほんま見てたら」
「謀略とか騙し討ちとか」
「滅茶苦茶悪いねん」
「三悪人より悪いな」 
 斎藤道三、松永久秀、宇喜多直家である。俗に戦国三悪人という。
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