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神々の塔
第八十五話 第六天魔王その一

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                第八十五話  第六天魔王
 今度は織田信長と戦うことになっていた、それで中里は言った。
「あの人とも戦うか」
「そやね、いよいよ」  
 綾乃が神妙な顔で応えた。
「あの人とも戦うね」
「そうなるな」
「やっぱり英雄やね」
 織田信長、彼はというのだ。
「それでこの世界やと神霊さんの一柱で」
「めっちゃ強いわ」
「そやね、そして」 
 綾乃はさらに言った。
「実は優しい人やったし」
「実像はな」
「苛烈で残酷って言われてたんが」
「人殺すのは最低限で」
「あくまで」
「それでな」
 中里も言った。
「処刑の方法も」
「あくまで当時ので」
「悪人には容赦せんかったけど」
「家臣や領民には優しくて」
「善政敷いてな」
「慕われてたね」
「その実は」
 織田信長はというのだ。
「優しくて寛容な」
「殺生を好まんで」
「ええ人やったね、信仰も」
 よく神仏を信じないと言われていたがというのだ。
「あの人なりにあって」
「安土城の石垣墓石とかお地蔵さんやったが」
「あれは只の石と思ってやなくて」
 そう考え集めたと言われていたがというのだ。
「墓石とかの霊力を使って結界にした」
「そうした考えで」
「安土城は巨大な結界やった」 
 その実はというのだ。
「その実は」
「神道やキリスト教も入ってて」
「天主閣は」
 これはというと。
「あらゆる宗教画があった」
「かなりの結界やった」
「信長さんはその中に住んではった」
「神仏の中に」
「そう考えたら」 
 それこそというのだ。
「信長さんは信仰心があった」
「確かに」
「そやった」
 このことを話した、そしてだった。
 綾乃は考える顔になってだ、こう言った。
「信長さんって誤解されてたんやね」
「ずっとな」
 今度は芥川が応えた。
「そやったわ」
「そやね、苛烈で残酷な無神論者」
「革新的やけどな」
「革新的なのは事実でも」
 このことはというのだ。
「そやけど」
「優しい人で秀吉さんも言うてはった」
 豊臣秀吉もというのだ。
「天下人になってな」
「確か右大臣さん程甘くはないって」
「信長さん右大臣やったから」
 この官位にあってというのだ、正確に言うと持していたので前右大臣と言われていた。そして官位のないまま亡くなったのだ。
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