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博士の挑戦状
第百八十七話

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              第百八十七話  博士は知っていた
 天本博士はブリーフ13が神戸を出た直後に小田切君に研究所で話した。
「ブリーフ13が神戸を出たぞ」
「そうなんですか」
「今ドローンが確認した」 
 こう言うのだった。
「そうした」
「それでわかったんですね」
「うむ」
 そうだというのだ。
「今しがたな」
「ドローンですか」
「実は昆虫型のドローンを神戸中に放っておってな」
「昆虫型のですか」
「大きさもな」
 これもというのだ。
「蠅や蚊と変わらん位じゃ」
「それじゃあわからないですね」
「そうじゃな、見てもな」
「わからないですね」
「それを神戸中に放っておるのじゃ」 
 そうしているというのだ。
「それでじゃ」
「ブリーフ13の動きもですか」
「把握しておってな」
 そうであってというのだ。
「今わかった」
「神戸を出たと」
「山道をひた走っておる」 
 その行動のことも話した。
「そうしておる」
「あの恰好で山道をですか」
 小田切君は博士の今の話に顔を顰めさせて問い返した。
「それはちょっと」
「ブリーフ一枚で山道はじゃな」
「ないですよ」
 こう言うのだった。
「流石に」
「それがあの男にとっては普通であるからな」
「いつもブリーフ一枚なので」
「その恰好が普通であるからな」
 だからだというのだ。
「あの男のことでは驚くことではない」
「じゃああの人自体が驚くことですか?」
「そう思ってよい」
 博士も否定しなかった。
「少なくとも常識からは離れておる」
「そうですね」
 小田切君は博士の言葉に頷いた、そうしてだった。
 博士にあらためて昆虫型のドローンについて尋ねた、何時どうしてそんなものを開発して神戸の街に放ったのかと。


第百八十七話   完


                 2024・7・28
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