第五章
48.すべてを破壊し、すべてを造り出すもの
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だと思うけど、ギガンテスのリアカーンくんの頭に当てたりしないよう十分に注意してね」
「気をつけます。こちらはだいぶ高さがあるので、あまり下に動かしすぎないようにすれば大丈夫そうですね」
『あの大きな丘のあたりは何もないし誰もいないはずなので、そこに尻尾の先を向けて』
「はい」
動かしている尻尾は、鱗を粗くした巨大な蛇のようにも見え、先端は大きな筒状になっていた。
それを、足元のタクトが示している方向――雪に覆われた丘へと向けていく。長さも変化するようで、フォルのいる場所より前へ出すようなかたちとなった。
『うん。よさそうだね。じゃあ席の正面ちょっと左に、蓋に覆われた押しにくい赤丸があると思うから、蓋をずらして押そうか』
「はい。あ、何か知らない声が返ってきました。意味まではわからないです」
『オーケー、って言ってみて』
「オーケー……わっ」
尻尾の先が強く光った。そしてそこから出る太い光の線が、雪の丘に突き刺さる。
直後、景色全体が強い光に包まれ、何も見えなくなった。
その状態のまま、大きな揺れを感じ、さらにはガラス越しにもすさまじい轟音がフォルの耳に入った。
「……!?」
視界が元に戻ると、フォルは目を疑った。
丘が一つ、なくなっていた。
代わりにその場所に広がっているのは、浅く大きな陥凹地だった。
「タクトさん、丘が、一瞬で消えました……」
『うおー、耳が痛い……。うん、これだけでも十分わかるよね。あっち側の兵士さんにも、そしてフォルくんにも』
「そう、ですね」
『きみはそれを使えばなんでもできる。ここに攻めてきている兵士さんたちを一瞬で消すこともできるし、ロトの子孫ももう敵ではなくなった。その気になれば街を丸ごと蒸発させることだってできるし、地図すらも変えてしまうことができる。きみはこの世界で神や精霊以上の存在になることだって可能になったんだ。どうだい? すごい力だよね? ワクワクする?』
その問いに対しては即答できず、フォルはもう一度、できあがった巨大な陥凹地やその周囲に目をやっていた。
雪やその下の地面が削れて地中が剥き出しになっており、ほうぼうからは煙が上っていた。まるで大地が火傷をし、皮膚が欠損したかのような景色だった。
『お、何か引っかかってる?』
「はい。すごい力なのでしょうが、とても悲しい力のようにも感じます……」
そう答えて、フォルは眼下のタクトを見た。目が合うと、タクトが「それでいいんだよ」と親指を立てた。
そしてそこに、ミグア、カリル、ヒース、リアカーンの四人がやってきた。
四人とも、フォルを見上げた。ミグアが小さくピースサインを出し、カリルが杖を振り、リアカーンはうれしそうに笑った。
そしてヒースが
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