暁 〜小説投稿サイト〜
邪教、引き継ぎます
第五章
48.すべてを破壊し、すべてを造り出すもの
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の場所ばかりであったのだからな」
「ハゼリオ様がハーゴン様に怒られてしまったりは?」
「あの(かた)はそんなことで怒らぬ。私は不問、そしてお前に対しては貧弱な体でこの秘境にたどり着いたことを褒めてくださるだろう。そういうお方だ」

「素敵なお方なのですね。でも『ロンダルキア台地』というくらいなので、なだらかなところかと思っていたのですが、こんなに変化のあるところとは」
「驚いたか?」
「はい!」
「そこはうれしそうに言うのだな」
「ええ。とても素晴らしいところですので。想像と全然違いましたよ。景色も、空気も」
「実際に見て、歩いてみないとわからないものだからな。それはこの先の人生においても言えることだろう」
「この先の、人生……」



 − − −



「……」

 フォルが目を覚ましたのは、ベッドのような台の上だった。
 仰向けで寝ている状態ではあるが、布団はかけられていない。
 上体を起こすと、ごくごく狭い部屋の中であることがわかった。

 壁も天井も白く、床は緑色。一見、木や石は一切使われていない。すべてが金属? なんだろう? フォルには今まで見たことがないもののように見えた。
 窓はないが、天井の一部が光っており、暗くはない。
 ベッド以外のモノは、壁に向けて置かれている一個の椅子のみ。それ以外は置かれていない。ただし、壁にはさまざまな大きさの正方形や長方形、円形の何かがたくさん埋め込まれており、何やら細い金属の腕に見えるようなものも付いている。
 何から何まで違和感しかなかった。

「あれ、胸の穴が?」

 フォルはそこで気づいた。自分は信者服を脱がされており、上半身が裸、下半身は何やら未知の肌着を着ている姿であることを。
 そして胸は剣で貫かれたはずなのに、なぜか穴がふさがっていた。わずかに傷跡は残っているが、血はまったく出ていない。付着すらしていない。

 鈍い痛みは残っている。どうやら死後の世界というわけではなさそうだと思い、台の上から降りたときだった。

『おーい! フォルくん!』
『フォル! 聞こえるか!』

 二つの声は、壁の中から聞こえてきたようだった。

「あっ、はい! 聞こえます! タクトさんとシェーラさんですね!? ご無事で何よりです!」

 自分の声はあちらに届くのだろうか? その疑問はあったが、「それはこっちのセリフだ」というバーサーカーの少女の小さな突っ込みが聞こえたため、どうやら届いたようであった。

『フォルくん、今どんなところにいるのか教えて』
「ええと、窓のない狭い部屋です。ベッドのような台と椅子があって」
『あー、わかった! じゃあ、とりあえず椅子に座って』
「はい、座りました」
『正面のちょっと右下に緑色の
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