第五章
48.すべてを破壊し、すべてを造り出すもの
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カいやつを知ってるんだな」
「うん。キラーマシン以上によく知ってる」
「じゃあ、当然あれもキラーマシンと同じ世界、お前のいた世界から召喚されたものということか」
「そうだね。おれの想像だけど、最初の召喚の儀のときにも地震が起きてたから、そのときに実は召喚に成功してた可能性があると思う。でも地中に召喚されたんで誰も気づかなくて、今それが動いたってとこじゃないかな……フォルくんの思いが届いてよかった」
「へえ。で、どういう奴なんだ、あれは。説明しろ」
走りながら、彼女は背中のタクトに問うた。
「あれはキラーマシン2よりも前の時代に登場したものだね。キラーマシン2みたいに犯罪者グループが悪いことをするのに使ってたとかそういうものじゃなくて、かつて世界一の技術大国と言われた国で開発されて使われていた、核融合炉と人工知能を搭載した総合建設マシンだ。
壊せないものはない出力自在のエネルギー砲、様々なコンクリート構造物に対応可能な超巨大3Dプリンタ、掘り起こせないものはないという極小から超巨大までの各ショベルアーム、溶かせないものはないという巨大バーナー、どんな場所も走破できるという巨大キャタピラー、さらには現場作業員のための労務管理機能、現場監督機能、産業医機能、救急医療機能まで内蔵してたはずだよ。
小さくはビルの建設から、大きくは山の切り崩しや海の埋め立てといった地形そのものを変えてしまうことや、街自体を初期化して計画都市として作り直してしまうことまでできる、オールマイティーなマシンさ。
当初は人類の土木技術と建築技術の集大成と称賛されながらも、同時に『核兵器を超える大量殺戮兵器に相当するのではないか』と指摘する声もあって――」
「おいこらちょっと待て。何一つ意味わからないぞ。一言でオレにもわかるようにまとめろ」
「じゃあ、せめて二言にさせて」
「許す」
「“すべてを破壊するもの”、そして、“すべてを造り出すもの”、かな」
「ほう。それはよさそうだな」
少女が足を速める。
タクトは振り落とされないように、彼女にしがみつく腕をしっかりと締めた。
− − −
「どうした、フォルよ。歩き疲れたか?」
「あっ、いえ。何か声が聞こえた気がしまして」
「ふむ? 儂には何も聞こえなかったが」
「たぶん気のせいです。すみません」
「……やはり体が重そうだな。神殿までのルートは二通りあるのだが、まだ子供のお前に近道のほうはきつかったか。申し訳なかった」
「いえいえ! 私こそロンダルキアに来る前からいろいろなところで足を引っ張ってしまって申し訳ありません。本当はもう何日も前に神殿に着いていないといけなかったのですよね!?」
「それは仕方のないことだ。お前にとって未知
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