見滝原保育園
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」
コウスケの質問に、祐太は困惑気味に苦笑する。
「子供からすればその……結構濃い顔付きしてるからじゃないか?」
「生まれつきなんだからしょうがねえだろ!」
コウスケが叫んでいる間に、ハルトはもう一度しゃがみこみ、ひなと目線を合わせる。
こちらの顔をじっと見上げるひなの目を見つめながら、ハルトは彼女に掌を見せつけた。
すると、ひなの目線もハルトの掌に移動する。何もない、と思わせたハルトは。一度拳を握り、手を百八十度回転させる。
そして、次に手を開いた時には、ハルトの手には赤い造花が握られていた。
「え」
「へ!?」
「おはな!」
突然の手品に、ひな以上に祐太と香子の方が驚いていた。いつの間にか口論は終着しており、ハルトの手を見下ろしている。
「すごっ……!」
「どうやって……!」
祐太と香子は目を白黒させている。
ハルトはひなに花を渡し、「ふうっ」と直立した。
そんなハルトを見て、コウスケが小突く。
「お前、何時の間にタネ仕込んでいたんだよ」
「保育園に来た時から。多分こうなると思ってた」
ハルトはそう言いながら、次の品を取り出す。
一枚のトランプ。両手にタネを仕込んでいないことを示しつつ、数回叩いたらいつの間にか十枚に増えている手品を披露すれば、ひな以上に大学生の二人が拍手し出す。
「そういや、お前の手品見るのも久しぶりだな」
「最近は色々あって、やってないからね」
ハルトはトランプをシャッフルしながら言った。
その時、背後で香子から息を呑む声が聞こえてきた。
「どうしたの?」
「……いいえ。何でもないわ」
「タネが分かっちゃった?」
「……」
香子がそっぽを向く一方、祐太は頭を掻いた。
「マジか。俺ぜんぜん分からないな。さっきの花のやつ、もう一回やってもらっていいか?」
「いいよ。今花の手持ちがないから……コウスケ、ペン借して」
「ほいよ」
祐太の要望に応え、ハルトは何もない掌からコウスケから借り受けたペンを取り出す。だが、観察するような目線をしていても、祐太は首を傾ける反応から変わることはなかった。
「すげえ、全然わかんねえ……松菜さん、後でその手品のやり方教えてくれないかな」
「いいよ。簡単な奴だから、すぐに覚えられると思うよ」
「ありがとう! よし、ひな。今度からおいたんも手品してやるからな」
祐太の言葉の意味は、おそらくひなには理解できていない。言葉を聞きながら、香子に抱き上げられている。
「よし。じゃあ、帰るか」
「そうね。……ねえ」
香子はひなを抱えたまま、ハルトへ尋ねる。
「ラビットハウスって、今日はやってるの?」
「やってるよ。ちゃんと夕食も食
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